ドイツの清掃機器メーカー「ケルヒャー」が11月4日、今月15日に閉店するハンズ渋谷店(渋谷区宇田川町)で「洗浄アート」による寄せ書きイベント「洗(せん)キュー!ハンズ」を行った。主催は日本法人のケルヒャージャパン(神奈川県横浜市港北区)。
同社が4月から展開する「ケルヒャー洗伝(せんでん)プロジェクト」の一環。同ブランドは1980年から、文化貢献活動として世界遺産など歴史的建造物を無償で洗浄するクリーニングプロジェクトに取り組んでいる。その一つに、洗浄機で汚れを落とした部分と洗浄していない部分の濃淡でダムの壁面に絵を描く「リバース グラフィティ」がある。
3月~4月にかけて栃木・松田川ダムに侍を「描いた」ところ好評だったことから、リバース グラフィティを街なかなどで「気軽にできないか」と、4月に日本独自で始めたのが「洗伝プロジェクト」。これまで 、浅草の遊園地「浅草花やしき」にはパンダカーを 描く などしてきた。「洗キュー!ハンズ」は、4カ所目の街となる渋谷を舞台にした「渋谷を洗ってます」アクションの1カ所として行った。
閉店に向けて「ワクワクするようなことをしたい」というハンズ渋谷店の思いが同プロジェクトと「親和性が高い」となり、実現した。同店と渋谷パルコの間に位置するSING通り壁面には、「友へ」(渋谷ロフト)、「最高にロック」(タワーレコード渋谷店)、「渋谷愛」(SHIBUYA109渋谷店)、「となりで」「ともに」(渋谷パルコ)、「同志へ」(西武渋谷店)、「またいつか」(忠犬ハチ公像=忠犬ハチ公銅像維持会)と、渋谷の施設など6店舗( カ所)からの「寄せ書き」を描いた。メッセージは、同社の業務用高圧洗浄機とステンシル版を使い、描きたいメッセージやイラストの形に沿って汚れを落とすことで浮かび上がらせた。
同時に、「ファンの皆さんにとっては思い入れが深い場所と聞いている」(ケルヒャー ジャパンマーケティング&プロダクト本部マーケティング コミュニケーション部・四条真美子部長)と、かつては開かれていた屋上を舞台に、ハンズ会員を中心とした市民参加型の「寄せ書き」体験を行った。「HANDS F■(=ハートマーク)REVER」「ありがとう」、手のイラストなどのステンシル版を用意した。
渋谷区生まれで小学生の時から同店を利用していた女性は、屋上に上った記憶もあることから「上がってみたい」 「思い出を残せたら」との思いから参加した。同店では、「壁と壁の隙間に産み落とされた子猫を助けるために丸ノコを購入した」ことがあるほか、木材加工の相談や靴の中敷きの試着など、「なんでも相談に乗ってもらえた、我が家の荒物屋さん」と思い出が尽きない様子で、「上から下まで巡る旅を3日間くらいしないと」と話した。閉店が間近に迫り、「最後ばっかりで嫌。百貨店(西武渋谷店)がなくなりハンズもなくなり、ちょっと渋谷大丈夫かな」と複雑な心境を明かした。
ハンズ渋谷店の清水学店長は「ハンズといえば、お客さまや取引先 と一緒に何かをやる体験、何かを作るというのが原点だと思っている。渋谷店の営業が残りわずかになってきたが 、普段お客さまが入らない屋上という場所で、こういうイベントができることで、 私共もお客さまにとっても思い出にな れば」と喜んだ。
「渋谷を洗ってます」アクションでは、他に2カ所を洗浄。ハロウィーン翌日の11月1日には、渋谷駅前の忠犬ハチ公像が、ハロウィーンで汚れた渋谷の街を駆け回りながら洗浄するというストーリーで、忠犬ハチ公像から宮下公園(渋谷1)に設置されているハチの像に向かって、ハチ公の足跡を「描いた」。同2日・3日には、「渋谷芸術祭」との連携企画として、渋谷川の壁面(稲荷橋広場付近)に 、アーティストのBAKIBAKIさんがアートを制作した。