定期試験前だけ発生する変則的な時間割編成。講師の空き時間、生徒の科目の組み合わせ、部屋の空き状況を突き合わせるこの作業を、学習塾「哲志会」ではベテラン職員が蓄積してきた知識を頼りに手作業で組んでおり、試験期間のたびに大きな時間的コストがかかっていた。
株式会社ゼットリンカー(本社:東京都新宿区、代表取締役:金原 隆利、以下「当社」)は、学習塾「哲志会」(東京都町田市・鶴川教室)から開発を受託し、定期試験対策授業の変則時間割を自動編成するシステムを、約2ヶ月で本番リリースしたことを公開しました。
■ 試験前だけ発生する、複雑で属人的な業務
学習塾の通常授業は、曜日ごとに決まった時間割で進む。しかし定期試験前になると、話は変わる。学校ごとに異なる試験日程・試験科目に合わせて、各生徒に必要な対策科目を、限られた講師の空き時間と教室の部屋数の中に詰め込む「変則時間割」を、試験期間のたびに一から組み直す必要がある。
哲志会の鶴川教室では、この変則時間割編成を、講師の可能時間帯・生徒の科目・部屋の空き状況を突き合わせながら、ベテラン職員が手作業で組んでいた。学校ごとに試験日程が異なり、講師のシフトも試験期間中に変わり、教室の部屋数には限りがある。
この掛け合わせをミスなく捌けるのは、長年の業務で培った知識を持つ特定の職員だけであり、試験期間が近づくたびにその職員の作業時間が積み重なっていた。
一方で、先方には「この手作業をなくしたい」という業務課題の実感はあったものの、それをどのようなシステムとして実現すればよいかという具体像までは固まっていなかった。
変則時間割編成のBefore/After対比図。これまでは講師の空き時間・生徒の科目・部屋の空き状況をベテラン職員が手作業で突き合わせ、試験期間のたびに大きな時間的コストがかかっていた。導入後は自動マッチングエンジンが同じ制約条件を編成し、手作業で組んでいた配布物と同じ形の時間割を生成する。

■ 見積もり段階で試作画面を見せ、認識のずれをなくす
当社は、要件がまだ固まりきっていない段階から、見積もりに試作画面(PoC)を添えるという進め方を採っている。今回の哲志会様のケースでも、契約前の見積もり段階で試作画面を提示し、「システムでどこまで自動化されるのか」「手作業のどの部分が画面上のどの操作に置き換わるのか」を、文章の要件定義書だけに頼らず画面を通してすり合わせた。ふわっとした要件のまま契約し、後になって認識のずれが発覚する事態を避けるためだ。
この進め方を経て受託したのが、変則時間割編成を自動化するマッチングエンジンの開発だ。試験日程・科目・講師の可能時間帯・部屋の定員といったハード制約に加え、クラスの合併条件や試験前日の扱い、段階的な配布(時間割を複数回に分けて確定・配布していく運用)といったソフト制約までをロジックに落とし込み、Next.js・Neon(PostgreSQL)・Firebase App Hostingという構成で開発した。
2026年7月の着手から約1.5ヶ月で本番リリースにこぎつけ、その後も8月末まで検品対応を続けた。
哲志会様「変則時間割システム」開発の進め方フロー図。見積もり段階での試作画面提示、現場の知識のヒアリング、マッチングエンジン開発、実配布物・実績シフトでの妥当性確認、本番リリース・追加開発継続という5ステップ。要件がふわっとした段階から、試作画面と実データの突合で認識を積み上げていく進め方。

■ 現場の知識を、ロジックに変換する
開発を担当したエンジニアは次のように振り返る。
「最初にお伺いしたのは、『毎回この時間割をどう組んでいるんですか』という、ベテラン職員が長年の業務で積み上げてきた知識そのものでした。試験日程・講師のシフト・部屋の数という条件だけを聞いても、実際に配布されている時間割の"形"は再現できません。平日は決まった時間帯にコマが集中する、空きコマができないように詰める、といった暗黙のルールを一つずつ言語化し、制約条件としてロジックに落とし込んでいく作業が中心でした。
現場に実際に足を運んでいたわけではありませんが、だからこそヒアリングと実物の突き合わせを何度も往復しました。実際に配布されていたWord文書を解析し、システムが生成した時間割と行構造まで一致するかを確認する。
人力で組んでいた実績シフトをそのままエンジンに入力し、未充足コマが本当にゼロになるかを検証する。特定の職員の作業時間に頼らないと回らなかった業務を、誰でも同じ品質で再現できる形に変えることを目指し、現場の理想形を当てずっぽうではなく実データで裏付けながら再現することにこだわりました。」
── 株式会社ゼットリンカー システムエンジニア 藤解 神羽
■ 実配布物との突合で、妥当性を確認
このマッチングエンジンは、開発して終わりにせず、実際の運用データで品質を確認している。過去に配布された実際の時間割(Word文書)とシステムの生成結果を照合したテストでは、欠落・過剰・試験日程の不一致は0件だった。
さらに、実際に勤務していた講師の稼働実績をそのままエンジンに供給して再実行したテストでは、対策コマの未充足は0件という結果を得ている(実際に勤務可能な講師の枠が十分に確保された場合の検証結果であり、供給が薄い条件では未充足が生じうる)。
本番リリース後も、開発は止まっていない。教室内で内容を確認するための時間割Excel出力機能など、運用が始まってから見えてきた現場の要望を受けて、追加開発を継続している。
■ 代表コメント
「今回のプロジェクトで印象的だったのは、担当したエンジニアが、ベテラン職員の知識をそのまま放置せず、実物のデータと突き合わせながら根気強くロジックに変換していったプロセスです。試験前の変則時間割のように、業種特有の複雑な調整業務は、パッケージ製品やノーコードツールでは対応しきれないことが多くあります。
哲志会様も、最初から『こういうシステムが欲しい』という具体像をお持ちだったわけではありません。見積もりの段階で試作画面をお見せし、画面を通して認識をすり合わせていったからこそ、契約後に『思っていたものと違う』というずれが起きずに済んだと考えています。
私たちが受託開発で目指しているのは、現場の担当者が積み上げてきた知識を丁寧に聞き取り、実データで裏付けながら、誰が運用しても同じ品質を再現できる形に落とし込むことです。属人化した業務ほど、特定の職員の時間的コストに頼って現場が支えられていることが多く、なくなったときの影響も大きい。今回の事例が、同じ悩みを抱える教育現場や中小企業の参考になれば幸いです。」
── 株式会社ゼットリンカー 代表取締役 金原 隆利
■ 開発概要
・発注元:学習塾「哲志会」(東京都町田市・鶴川教室)
・開発:株式会社ゼットリンカー(受託開発)
・システム内容:定期試験対策授業の変則時間割自動編成システム。試験日程入力、自動マッチング、手動調整、学校別Word配布物出力、時間割Excel出力に対応
・開発期間:2026年7月着手、約1.5ヶ月で本番リリース。8月末まで検品対応、以降も追加開発を継続中
・技術構成:Next.js、React、Neon(PostgreSQL)、Firebase App Hosting、Neon Auth
■ 当社の受託開発について
当社は、中小企業・スタートアップ向けにNext.jsフルスクラッチ開発とAI駆動開発を組み合わせた受託開発を手がけています。今回のように、業種特有の複雑な調整業務を、特定の担当者の知識と時間的コストに依存したまま放置せず、実データで裏付けながらシステム化する進め方を得意としています。
対応領域は、学習塾の時間割編成のような業界特化型の業務システムに限りません。既存の業務フローを土台からつくり直す事業システムのフルスクラッチ開発や、日々の手作業・紙運用・複数ツールの二重入力といった非効率を解消する業務効率化システムの構築についても、構想段階からご相談いただけます。ノーコード・パッケージ製品では対応しきれない独自要件がある場合や、AIを組み込んだ業務システムを検討されている場合は、下記お問い合わせ先までお気軽にご連絡ください。
■ 会社概要
・会社名:株式会社ゼットリンカー
・設立:2025年4月30日
・資本金:100万円
・代表取締役:金原 隆利
・所在地:〒160-0023 東京都新宿区西新宿3丁目3番13号 西新宿水間ビル2F
・事業内容:Web/モバイルアプリ開発・運用保守、AIソフトウェア開発、業務システム開発、DX/AXコンサルティング、自社プロダクト開発(ぜっとらぼ)
・URL:https://zetlinker.com
■ 本件に関するお問い合わせ先
株式会社ゼットリンカー
E-Mail:info@zetlinker.com