「西武渋谷店」(渋谷区宇田川町)が9月30日、閉店する。旧セゾングループの旗艦店として1968(昭和43)年に開業。百貨店としていち早く海外ブランドを導入し、「DCブランド」ブームの先駆けとなるなど、渋谷の若者文化もけん引した百貨店が、58年の歴史に幕を下ろす。
渋谷駅前(スクランブル)交差点からすぐの立地で、A館とB館をつなぐ連絡橋や、かつてにぎわった屋上遊園地などでも知られた。一般的な百貨店の枠を超え、ファッションやアートなどの分野で独自の存在感を発揮し、ロフト館や現在のモヴィータ館につながるシード館など、「西武村」とも呼ばれる独特の街区を形成した。
同店を経営するそごう・西武によると、閉店は地権者との賃貸借契約満了によるもの。20年近くにわたり地権者との間で再開発について協議や交渉を続けてきたが折り合わず、撤退を決めた。屋上の「SEIBU」と書かれた看板や、エントランスの銅像「人魚像」「牧神パン像」はすでに撤去作業が進められている。同日、A館・B館とパーキング館が閉店するが、ロフト館とモヴィーダ館は営業を続ける。
最終営業日となったこの日は、約150人が列を作り10時の開店を待った。名物のカレーを食べようと、レストラン「トップス渋谷店」(A館5階)の整理券を求める客も多く、道では「渋谷西武」のラストの姿を収めようとカメラやスマートフォンを構える人も目立った。
開店前、列に並んでいた品川区出身の60代の経営者の女性は「一番近くにある百貨店だった。母ともよく来て、トップスもずっと通い続けてきた。なくなってしまうのは寂しい」と話していた。
20時に閉店する。