
「ドン・キホーテ」などを展開する株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(以下、PPIH)では、約10年前からシフト管理システム「R-Shift」を活用しています。同社で「シフコン」の愛称で定着しているシステムは、この10年間で単に勤務シフトを作成するツールから、売上や客数をもとにレジの必要稼働台数を予測し、適正な人員配置を考えるための基盤へと役割を広げてきました。本記事ではPPIHで実際に使われている呼称に合わせ、以降「シフコン」と記載します。現在の利用者数は10万IDを超え、利用拠点は1,240拠点。さらに、店舗の人手不足を機動的に支える「登録制メイト制度」の運営にも活用されています。
今回は、PPIHでシフコンの運用に携わる4名のキーマンの方々に、10年間で変化してきたシフト管理の考え方と、同社独自の「登録制メイト制度」、そして今後目指す、人財を最大限に活かす店舗運営について伺いました。
PPIHでは、シフコンを約10年にわたり利用しています。5年前にお話を伺った際には、その変化を「シフトを作るツールから、シフトを管理するツールへ」と表現されていました。(2021年のインタビューは
こちら https://www.rshift.jp/cases/?utm_source=direct&utm_medium=none)
そこからさらに活用が進んだ現在、同社が目指しているのは「適正配置を実現するツール」です。現在では、売上や客数などのデータからレジの必要稼働台数を予測し、それに合わせて
「何番レジに、何時から何時まで、誰を配置するか」までシフトへ落とし込んでいます。店舗側では予測された適正時間を確認しながら、実際の店舗状況に合わせた調整も可能です。

従来、店舗の人員配置には店長や担当者の経験が生かされる場面が多くありました。一方で、店舗数が増えれば、判断基準にも差が生まれます。そこで、データから導き出した配置の目安と現場の判断を組み合わせることで、
「なぜこの時間に、この人数が必要なのか」を説明できる店舗運営へ変えてきました。シフトを効率的に作るだけではなく、現場の意思決定を支援する。PPIHにおけるシフコンの役割は、そこまで広がっています。

特徴的なのが、シフトを作成して終わりにしない点です。PPIHではレジ開設実績とPOSデータなどを組み合わせ、必要と予測したレジの稼働時間と実際の配置状況を比較。差が大きい店舗は適正化を担当するチームが確認し、店舗へのフィードバックにつなげています。また、フルセルフレジなどを導入した際にも、導入前後の稼働状況を比較することで、人員配置がどのように変化したのかを検証しています。
「どこに、どれだけ人を投入したのか」というデータを蓄積し、生産性の分析や設備投資の検証に生かす。シフコンは、店舗運営を考えるための基盤の一つにもなっています。
もう一つ、PPIHならではの活用事例が「登録制メイト制度」です。
PPIHでは、店舗などで働くパート・アルバイト従業員を「メイト」と呼んでいます。その中でも登録制メイトとは、特定店舗の固定シフトだけで働くのではなく、店舗から出された応援依頼に対して勤務可能なメイトが応募し、必要な店舗・時間帯で働く仕組みです。繁忙日などに発生する「ピンポイントのシフトの穴」を、自社で採用・育成した人財を店舗間で活用することで補います。この制度は本社から一斉に始まったものではなく、一つの支社で生まれた取り組みが成果を上げ、他の支社へ横展開されながら全国へ拡大。現在では全国24拠点が登録する規模となっています。
従来は、シフコンの自動マッチング機能を活用しながら、管理者側で登録制メイトのシフトを作成していました。そこからさらに柔軟な人員配置を目指し、2025年12月、店舗が募集を出し、登録制メイト自身が働きたい店舗・時間帯を選んで応募する方式へ転換しました。

その結果、それまで6〜7割程度だった店舗からの応援依頼に対する充足率は、7割を超える水準で安定。メイト自身が勤務先を選ぶことで、勤務条件のミスマッチによるキャンセルも減少しました。
さらに、応募が集まりやすい店舗・集まりにくい店舗が可視化されたことで、店舗や時間帯ごとの課題を把握し、採用や募集方法など次の対策も考えやすくなっています。
登録制メイト制度の特徴は、単なるスポット人財のマッチングではありません。依頼業務の約6割をレジ業務が占めています。レジは店舗に入ったその日から誰でも担当できる業務ではないため、登録制メイトにはあらかじめ基礎的なレジ研修を実施。さらに店舗ごとに異なるルールも事前に共有することで、応援先でも一定の業務品質を保てるようにしています。また、登録制から店舗専属へ、店舗専属から登録制へと、ライフステージに合わせて働き方を変えることも可能です。店舗採用では勤務条件が合わなかった人が登録制で活躍するケースもあり、単なる人手不足対策を超えて、PPIHの中で働き続けてもらうための選択肢にもなっています。活用範囲も店舗だけではありません。
現在では、SNS動画への出演やデータ入力など、間接部門からピンポイントで応援を依頼するケースも生まれています。店舗の「シフトの穴」を埋めるために始まった制度が、会社全体で人財を柔軟に活用する仕組みへ広がり始めています。
約10年間の運用を経て、PPIHが次に見据えているのが、シフト計画と店舗運営をさらに密接につなげることです。これまでは「作成したシフトに対して、実績がどうだったのか」を振り返る運用が中心でした。今後は、計画された労働時間に対してシフトがどの程度乖離しているのかを作成段階から可視化し、必要に応じてアラートを出すなど、「結果を見る」だけでなく「計画段階で調整する」仕組みへの進化を目指しています。
特に同社では、今後さらに人財確保が難しくなる環境の中で、限られた人員をどこに配置することがお客様満足につながるのかが重要なテーマになっています。単純に配置人数を減らすことが目的ではありません。レジでのお客様対応や売場でのご案内、欠品防止や商品補充など、お客様の不便を減らし、より快適に買い物をしていただくために必要な業務へ、適切に人員を配置していくことが求められています。どの部門・どの時間帯に人員を配置することで、より高い店舗価値を生み出せるのか。これからのシフコンには、限られた人財をより効果的に活用し、お客様サービスと店舗運営の質を高めるための判断をデータで支える役割が求められています。
登録制メイト制度にも、まだ先があります。現在、登録制メイトによる応援に対応できている店舗は、対象となる約700店舗のうち約300店舗。今後目指しているのは「全店対応」です。どの店舗から応援依頼が来ても必要な人員を届けられる状態をつくるため、登録者の採用強化だけでなく、店舗ごとの需要や業務内容を分析し、より精度の高いマッチングを実現していく方針です。シフトを「作る」から「管理する」へ。さらに「適正配置する」「社内で人財を融通する」「人件費と店舗運営を管理する」へ。約10年間の活用を通して、PPIHにおけるシフト管理の対象は大きく広がってきました。シフト表の先にあるのは、単なる勤務予定ではなく、「いつ、どこに、どれだけ人が必要なのか」という店舗運営そのものです。
R-Shiftは今後もPPIHとともに、現場の裁量を生かしながら、データに基づいて人員配置を判断できる仕組みづくりを進めてまいります。

浅川拓摩(戦略企画部 マネージャー)R-Shiftの運用立ち上げ業務の経験を活かして、現在はプロモーション業務を軸に活動。
今回お話をお伺いしたのは全員本部の方でしたが、どなたも活力に満ちた雰囲気が印象的でした。各部に権限が委譲されていて現場主義を重んじているというのは有名な話ではありますが、取材を通してとても納得感がありました。
特に印象に残ったのは、現場の裁量を大切にしながら、そこで生まれた工夫を全社へ広げていく姿勢です。登録制メイト制度も、現場発の取り組みから全国へと広がってきました。
シフコンも約10年の活用を通じて、シフトを「作る」だけでなく「適切に配置し、振り返る」ための仕組みへと進化しています。今回伺った現場の声を、私たちも今後のR-Shiftの進化につなげていきたいと思います。
会社名:オーエムネットワーク株式会社
所在地:新潟県新潟市中央区
事業内容:業務システム開発、シフト管理システム「R-Shift」
提供Web:
https://www.omnetwork.co.jp/
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