日本精工株式会社(本社:東京都品川区、代表者:取締役 代表執行役社長・CEO 市井 明俊、以下NSK)は、マシニングセンタ向け新型スピンドルを開発しました。本開発品は、「高速ビルトインモータスピンドルシリーズ 高剛性・高出力タイプ」をもとに開発した新型スピンドルであり、切削時に発生する異常な振動「びびり振動」を抑制することで、重切削加工における加工効率の向上に貢献します。
NSKは本開発品を2026年10月26日(月)〜10月31日(土)に開催される「JIMTOF2026 第33回日本国際工作機械見本市」に出展し、2027年4月に市場投入を目指します。

左:本開発品、右:マシニングセンタにおける本開発品の搭載箇所
1. 開発の背景
マシニングセンタは、工具を自動で交換しながら金属などの材料を削る工作機械で、自動車部品や航空機部品、産業機械部品等を製造する際に広く使用されています。近年、製造業では人手不足や生産コスト上昇を背景に、生産性向上への要求が高まっています。また、航空機や自動車などの分野では、燃費向上や環境負荷低減を目的としてチタン合金など加工が難しい高機能材料の使用が増えています。そのため、マシニングセンタに対して、これらの材料を高効率に加工する性能の向上が求められています。
高効率に加工するためには、一度に多くの材料を削る重切削加工が有効ですが、加工中の異常な振動「びびり振動」が発生しやすくなります。「びびり振動」の発生は、加工面品質の劣化や工具寿命の低下を招くため、高効率加工を実現させる上で大きな課題となっています。
スピンドルは、マシニングセンタの工具を高速回転させる主軸であり、その性能は加工効率や品質に大きく影響します。このような背景から、スピンドルに対して、「びびり振動」を抑制し、安定した高効率加工を実現することが求められています。
2. 開発品の特長
1)「びびり振動」の抑制
NSK従来品(高速ビルトインモータスピンドルシリーズ 高剛性・高出力タイプ)と同等の出力、最高回転数、静剛性*1を維持しつつ、減衰性能*2 に優れた軸受を搭載することで、スピンドルの動剛性*3 向上に寄与し、加工時に発生する「びびり振動」を抑制します。これにより、安定した重切削加工に貢献します。
*1静剛性:機械や部品に力が加わった際の変形しにくさを表す指標。
*2減衰性能 :振動のエネルギーを吸収し、振動を早く小さくする性能。減衰性能が高いほど振動が収まりやすく、「びびり振動」の抑制に寄与する。
*3 動剛性:加工時に振動する力を受けたときの変形のしにくさを示す指標。動剛性が高いほど「びびり振動」が発生しにくくなる。
2)重切削加工への貢献
本開発品は、「びびり振動」を抑制することで、重切削加工における以下のような改善に貢献します。
・加工時間の短縮による生産性向上
・加工面品質の向上
・工具寿命の延長によるコスト低減
・加工の信頼性向上
3)「びびり振動」の抑制に貢献する軸受の採用
スピンドルは軸受を使用したユニット製品であり、軸受は構成部品の中で最も大きな負荷を受ける、スピンドル性能を左右する重要部品です。
本開発品は、NSKの工作機械主軸用軸受「ロバストダイナ(TM)シリーズ Jタイプ*4」を採用しました。同軸受の優れた減衰性能により本開発品の動剛性向上に寄与し、「びびり振動」を抑制します。「ロバストダイナ(TM)シリーズ Jタイプ」はNSK従来軸受「ロバストベーシックシリーズ Hタイプ*5」に対して、以下の優位性があります。
(1)減衰性能:約30%向上
(2)荷重負荷能力:15%向上
(3)軸受寿命:最大6倍
*4 ロバストダイナ(TM)シリーズ Jタイプ:NSKが2022年に開発を発表した工作機械主軸用高負荷容量・超高速アンギュラ玉軸受。詳細はこちら:工作機械主軸用 高負荷容量・超高速アンギュラ玉軸受『ロバストダイナ(TM)(ROBUSTDYNA(TM))シリーズ Jタイプ』を開発 | 日本精工 (NSK)
*5 ロバストベーシックシリーズ Hタイプ:NSK従来スピンドル「高速ビルトインモータスピンドルシリーズ 高剛性・高出力タイプ」に搭載されている軸受。

左:ロバストダイナ(TM)シリーズ Jタイプ、右:本開発品における「ロバストダイナ(TM)シリーズ Jタイプ」搭載箇所
■NSKについて
NSKは、1916年に日本で最初の軸受(ベアリング)を生産して以来、100年以上にわたり軸受や自動車部品、精機製品などのさまざまな革新的な製品・技術を生み出し、世界の産業の発展を支えてきました。1960年代初頭から海外に進出し、現在では約30ヶ国に拠点を設け、軸受の分野で世界第3位、またボールねじ、電動パワーステアリングなどにおいても世界をリードしています。
NSKについての詳細は、こちらのページをご覧ください。