
採用マーケティング支援を行う株式会社No Company(本社:東京都港区、代表取締役:秋山真)は、2023年1月以降に中途入社した30〜40歳のビジネスパーソン871名を対象に、「定着・活躍を実現する採用コミュニケーション調査2026」を実施しました。本調査では、入社1年未満で離職した人たちを「早期離職層」とし、現在も活躍し勤務を継続している人たちを「定着層」として調査を実施しました。求職者のリアルな本音から、入社前の情報提示と体験設計の重要性を浮き彫りにします。
キャリア採用(中途採用)が一般化し、労働市場の流動性が高まる中、採用のあり方そのものも変化しています。株式会社学情の「キャリア採用動向調査2026」によると、2023年度の調査開始以降、初めて「キャリア採用の割合が多い」と回答した企業が、「新卒採用の割合が多い」と回答した企業を上回りました。即戦力人材へのニーズが高まる一方で、企業にとっては「採用した人材が、入社後に活躍し、長く働き続けられるか」という視点がこれまで以上に重要になっています。
キャリア採用では、給与や役職、職務内容といった「スペックマッチ(条件・スキルの適合)」が重視されがちです。しかし、実際に働く個人の定着やパフォーマンス向上を左右するのは、それだけではありません。これまでの経験やスキルだけでなく、仕事に対する価値観や意思決定の基準、組織のカルチャーとの相性など、「どのような環境で、どのように働きたいのか」というスタイル(※)まで含めたマッチングが重要になっています。
採用競争が激しくなり、キャリア採用の比重が高まる今、企業は「採用する」だけでなく、「入社後に活躍し、定着する」までを見据えた採用設計が求められています。
出典:学情「キャリア採用動向調査2026」(2026年)
(※)スタイル:求人票などのスペック情報には現れにくい、企業の根底にある価値観や行動様式、組織固有の仕事におけるこだわりなどのこと。
■ 調査結果サマリー:採用CX(※)を揺るがす4つのファクト
1. 早期離職者も入社前は「自分に合う」と期待――要因は条件ではなく「目に見えないスタイル」のギャップ
入社前に「自分らしく働けそう」と判断していた割合は、定着層の67.6%に対し、早期離職層では84.9%と、むしろ早期離職層の方が高い結果となりました。「合わないと分かって入社した」のではなく、期待して入社しているにもかかわらず、早期離職者が事前に知りたかった情報として、「上司のマネジメントスタイル」(15.7%)、「暗黙のルール」(14.8%)、「仕事の判断基準」(14.2%)などが挙げられています。求人票には載らない、組織独自の行動様式(スタイル)のミスマッチが、早期離職に影響している可能性が示唆されます。
2. 早期離職層の約8割が入社後にギャップを体験、その9割が「事前情報があれば判断できた」と回答
早期離職層の79.9%が入社後にイメージとのギャップを感じており、退職の決定打となった要因も「実際の仕事内容(5.0%)」より「一緒に働くメンバー」「チームの雰囲気」「仕事の判断基準」などのスタイル・人間関係(計45.6%)が上位を占めました。また、ギャップを感じた早期離職層の90.9%が「事前に知っていれば、自分に合う会社か判断できた」と回答しており、入社前における正確な情報開示と判断機会の提示が重要と考えられます。
3. 「会社や上司の理解」にとどまらず、「自分がどう動くか」をイメージできるか
入社前に「自分らしく働けそう」と感じた理由として、定着層は「自分の強みが活かせる(25.0%)」、「仕事の進め方が自分に合う(18.3%)」などの自身の行動レベルまでイメージできていたのに対し、早期離職層は「課題の理解(22.0%)」や「上司の理解(19.5%)」など自分に合うかよりは客観的な状況の把握にとどまる回答が上位を占めていました。単に会社を知ってもらうだけでなく、求職者が「自分が現場に入ったらどう動くか」をリアルに描ける状態をつくることが重要です。
4. 一方的な広報コンテンツから「対話とリアルな体験」を組み合わせた「入社前オンボーディング」へ
信頼や納得感につながった情報源として「採用サイトや資料」は10%台にとどまる一方、「面接での丁寧な説明(定着層:24.2%)」や「上司となる人との対話(定着層:22.2%)」、さらに「職場・オフィス見学(15.6%)」などのリアルな接点が上位となりました。
(※)採用CX(Candidate Experience):求職者が企業を認知し、応募・選考・内定、さらには入社に至るまでの一連のプロセスの中で得るあらゆる体験や感情、納得感のこと。
「合わない会社に入った」のではなく、「合うと思って入った」実態

入社前に「自分らしく働けそう・活躍できそう」と感じていた割合を比較すると、定着層が67.6%に対し、早期離職層は84.9%と、むしろ早期離職層の方が高い結果となりました。 この結果は、入社前に自分らしく働ける期待感が高い場合にも、実際に入社後にマッチングしているとは限らない可能性を示しています。企業側が魅力付け(アトラクト)に成功し、「この会社は自分に合いそうだ」と思わせるだけでは、入社後のミスマッチを防ぎきれない可能性があります。
「企業理解」と「行動シミュレーション」の違い

入社前に得ていた情報の中身を分析すると、両者の間に明確な違いが見られました。定着層は、「自分の強みや経験に合っている(25.0%)」「仕事の進め方が自分に合っている(18.3%)」「入社後の役割を具体的に理解できた(20.8%)」など、「自分との適合性」に関する項目を重視していました。一方、早期離職層は、「会社の価値観に共感できた(14.2%)」「上司のマネジメントスタイルが分かった(19.5%)」「良い面だけでなく課題も理解できた(22.0%)」など、「会社についての理解(企業理解)」の項目が相対的に高い傾向がありました。 ここから、「企業を理解すること」と「自分がそこでどう働くかを具体的にイメージできること」は異なる可能性がうかがえます。採用コミュニケーションのゴールを単なる「会社理解」に留めず、「求職者がこの会社で働く自分を具体的にシミュレーションし、実際の働き方をイメージできる状態」まで導くことが大切です。
退職の決定打として挙がったのは、「何をするか」だけでなく「どう働くか」

さらに早期離職層の退職の決定打となった要因を見ると、「実際の仕事内容」は5.0%にとどまる一方、「一緒に働くメンバー(8.5%)」「チームの雰囲気(8.2%)」「仕事を進める上での判断基準(7.5%)」などの組織風土や人間関係にまつわる項目が上位を占めました。

さらに「入社前に知ることができていれば、入社後のミスマッチや早期離職を防げたと思う情報」について振り返る項目でも、「実際の仕事内容(15.7%)」と同率で「上司のマネジメントスタイル(15.7%)」が挙がり、次いで「一緒に働くメンバー(15.1%)」「暗黙のルール(14.8%)」「判断基準・考え方(14.2%)」が続いています。 キャリア採用においては、「どんな仕事をするか(仕事内容)」というスペック面だけでなく、「誰と、どのような判断基準や価値観で仕事をするか(スタイル)」までを透明性高く伝えることが、マッチング精度を高める要素と考えられます。
入社後に発覚するギャップを、いかに入社前に発見できるようにするか

入社後にイメージとのギャップを感じた割合は、定着層の49.6%に対し、早期離職層では79.9%にのぼりました。

さらに、ギャップを感じた早期離職層の90.9%が「事前にそのギャップを知ることができれば、自分に合う会社かを判断できた」と回答しています。 この調査結果より、早期離職を防ぐためには「ギャップをゼロにしようとする」こと以上に、「入社後に初めて発覚しているギャップを、入社前に候補者自身が発見・確認できるようにする設計」への転換が有効であると考えられます。
信頼を獲得する採用コミュニケーションと「リアルな体験接点」

内定承諾までに信頼につながった要素として、「採用サイトや会社資料」などの一方的な発信は10%台にとどまる一方、「面接での丁寧な説明(定着層:24.2%)」「上司となる人との対話(定着層:22.2%)」「質問への率直な回答(離職層:18.2%)」「課題も話してくれたこと(離職層:17.3%)」など、対話を通じたコミュニケーションが上位となりました。

また、定着層が納得感を深めた機会として「上司となる人との面談(19.2%)」「職場・オフィス見学(15.6%)」「実際の仕事への同行・見学(10.5%)」といった場が挙がっています。 このアンケート結果からは、魅力を伝える広報コンテンツを否定するのではなく、広報コンテンツで認知・興味を高めつつ、「現場との対話」や「リアルな体験」を組み合わせて適合性を相互に確かめ合える設計をつくることが重要であると考えられます。
■ 調査結果のまとめ
「スペック」だけでは捉えきれない、キャリア採用のマッチング
本調査の結果から、条件やスキルといったスペック情報だけでは、入社後の適合性を捉えきれない可能性が示唆されます。もちろん、給与やスキルといった条件面のマッチングは採用における欠かせない前提条件です。しかし、どれほど優秀な実績を持つ人材であっても、組織の「意思決定の進め方」「評価・判断の基準」「上司のマネジメント手法」といったスタイル(固有の行動様式や価値観)が噛み合わないことが、入社後のギャップにつながり、定着を難しくする可能性があります。これからのキャリア採用は、「企業が求める条件を満たしているか」という一方通行の評価を改め、求職者自身が「この会社で自分らしく働けるか」を客観的に判断できる「スタイルマッチ」へシフトする必要があります。
「伝える採用」から「確かめ合う採用」へ ──「入社前オンボーディング」の推進
企業は「アピールするための採用(伝える採用)」を脱し、「お互いの適合性をすり合わせる採用(確かめ合う採用)」へとプロセス設計を変革する必要があります。 従来の「選考 ? 内定 ? 入社 ? オンボーディング」という分断されたプロセスを再設計し、選考中〜入社前の段階から「働く姿をシミュレーションできる機会」を提供すること=「入社前オンボーディング」が有効な打ち手となります。
【入社前オンボーディングの具体的取り組み例】
- 現場社員・未来の上司との飾らない対話・面談
- チームの実際の会議や打ち合わせへの見学参加
業務の判断基準や職場のルールに触れる短時間の職場体験
単に「会社を知ってもらう(企業理解)」のではなく、「入社後の自分がどう働くかをシミュレーションしてもらう(自発的行動のイメージ付け)」――この転換によって、「この会社なら合いそう」という期待を「実際に自分がどう働くか」という具体的な判断へと変えていくことが、より納得度の高いマッチング、そして定着と活躍につながると考えられます。
■ これからの採用戦略に向けて
中途採用における早期離職は、求職者個人の適性不足だけではなく、選考プロセスにおける「スタイル開示の不足」や「お互いを確かめ合う機会(採用CX)の欠如」にも目を向ける必要性が示唆されました。自社ならではのスタイルをきちんと言葉にして提示し、選考を通じてリアルな体験と誠実な対話の場を作ること。こうした取り組みは、入社後の定着・活躍につながる『スタイルマッチ(価値観や行動様式をもとに企業と求職者がマッチングしている状態)』を実現するうえで、これからの採用戦略における重要な一歩になると考えます。
■ 調査背景
労働市場の流動化が進む中、キャリア採用を強化する企業が増加する一方で、入社後のミスマッチや早期離職は組織にとって大きな損失となっています。条件面(スペックマッチ)を中心とした従来のマッチング手法の限界を探り、企業と個人の双方が「スタイル」を理解し合える新しい採用コミュニケーションのあり方を提示するため、本調査を実施いたしました。
■ 調査概要
調査時期: 2026年8月27日〜2026年9月3日
調査方法: インターネット調査
対象エリア: 全国
調査対象: 2023年1月以降に中途入社を経験した30〜40歳のビジネスパーソン871名(早期離職層グループA:318名/定着層グループB:553名 ※集計セグメントによる抽出)
No Companyが実現する「スタイルマッチ」
採用マーケティング支援のリーディングカンパニーであるNo Companyでは、企業のスタイル(価値観や行動様式)を言語化・可視化し、求職者に届けることで、自社に合う人材とのマッチング=「スタイルマッチ」を実現しています。
これまでに100社・1000人を超える人事・採用担当者との対話を通じ、企業ごとの価値観や文化に関する知見を積み重ね、それぞれに最適な採用マーケティングの戦略や戦術を模索しながら取り組んできました。こうした経験をもとに、生活者に響く情報発信や採用プロセス設計を行い、企業と求職者双方にとって最適なマッチングを目指しています。
No Companyは、「スタイルマッチで組織と人を変えていく」を事業ミッションとし、この理念に基づいた多様なサービスを通じて、企業の人事・採用活動を支援しています。
株式会社No Company
博報堂グループ(現:博報堂DYグループ)初のSNSデータを活用した採用広報支援企業。株式会社スパイスボックス(本社:東京都港区、代表取締役社長 田村栄治) の子会社として2021年10月1日に設立。SNSデータ活用ノウハウ、博報堂グループの一員として持つ豊富なマーケティング知見、実績を活かし、採用マーケティングのリーディングカンパニーとして企業の採用活動の支援や人的資本経営におけるブランディング支援を行う。

社名 :株式会社No Company(読み方:ノーカンパニー 英文社名:No Company, inc.)
設立 :2021年10月1日
資本金 :2000万円
出資者 :株式会社スパイスボックスほか
所在地 :東京都港区虎ノ門4-1-1 神谷町トラストタワー21階 WeWork内
代表者 :代表取締役社長 秋山真
事業内容:採用マーケティング支援
URL :https://www.no-company.co.jp/