アサヒビールお客様生活文化研究所(南青山)は2月4日、「バレンタインデーの贈り物」をテーマに実施したインターネット調査の結果を発表した。調査対象は全国20歳以上の男女4,990人で、調査期間は2004年1月28日~2月3日。それによると、男性に聞いた「女性にもらってうれしい贈り物」の1位は「プレゼントなら何でもうれしい」(17.0%)、2位は「愛情」(9.6%)、3位は「ファッション小物(ネクタイなど)」(8.7%)で、「好きな人からもらえるモノなら、なんでも嬉しい」(20代男性)など、控えめなリクエストが上位に並んだ。一方、女性に聞いた「男性に贈って喜ばれそうな贈り物」では、1位「腕時計」(12.3%)、2位「酒(ワイン・ウイスキーなど)」(10.8%)、3位「ファッション小物(ネクタイなど)」(10.1%)という結果。腕時計については「いつも身につけてほしいから」(30代女性)、酒については「お酒なら自分も飲めるし、バレンタインの夜を楽しめる」(30代女性)など、積極的な姿勢が目立っているのが特徴。
アサヒビール お客様生活文化研究所男性に「贈って喜ばれそうな」プレゼント1位の腕時計の動向を、パルコ・パート3にある「チックタック渋谷店」店長の三ツ木さんは「当店で扱っているものは、値段的にも低価格の買いやすいものが多く、もともとギフトとしての需要は高い。普段は、自分用6割、ギフト用4割といった比率だが、この時期はその数字が多少変動する。渋谷という場所柄もあって、逆輸入品の1万円以内のモノが売れ筋」だと話す。
本命狙いの高まりを背景に、今年は手作り派も増加しそうだ。食品製造用シリコン製品の製造販売を行うフランスのキッチンツールメーカー「ドゥマール・ジャポン」(神宮前)。2003年10月に表参道の近くにオープンした同社直営の「アトリエ・カフェ・ドゥマール」(TEL 03-3407-0332)では、「フォンダンショコラ」(280円~)などのバレンタイン用のチョコレート菓子を購入することができる。同店の特徴は、店内で売っている菓子を作ってみたい手作り派のために「材料キット」を販売している点。バレンタイン時期の特別商品として売られている「フォンダンショコラ・キット」(4,100円)は、材料だけでなくレシピやシリコン製のフレキシパンという型も付いていて、購入したその日からすぐ作れる優れもの。広報担当の時岡さんは「普段は200gとかで売られている材料を小分けにして、すでに計量済みの状態でセットにしている。材料のムダが省けるだけでなく、計量済みなので失敗も少なく初心者の方でも安心して作ることができる」と、この時期らしい提供方法に触れる。
また、同店ではお菓子教室や国内外の有名パティシエを招いての特別講習会も行っており、バレンタインに向けての講習は「すでに予約で一杯だが、無料試食付きのデモンストレーションも用意している。当日はレシピを渡し、材料も道具も店内で購入可能」(時岡さん)と加える。デモンストレーションは2月7日、8日、12日に予定しており、全日共14時~約30分の予定。予約は不要。
アトリエ・カフェ・ドゥマール2003年10月、代官山にオープンしたチョコレート専門店「ベルアメール」がオープン後、初のバレンタインを迎える。同店のシェフショコラティエ小杉さんは1998年に渡仏し、ヨーロッパの名店「ミシェルジョーダンパリ」でジョーダン氏に師事後、「ミシェルジョーダンジャポン」のシェフショコラティエを務めた実力派。通常ショップでは、20種類からなる「ショコラスタンダード」(一粒200円)、10種類からなる「ショコラセゾン」(一粒220円)が定番商品として人気だが、バレンタイデーギフトとしてこれらを詰め合わせにしたもののほか、トリフコレクション(1,400円~)、パレショコラ/マンディアン(1,100円~)の詰め合わせも人気だ。FAX、WEBでも注文を受け付けており、来店以外のオーダー受け付けは2月9日分まで。
ほかにもバレンタイン限定のギフトとして、同店のケーキで一番人気の「クリオロ」をハートの型にデザインした「クール・ド・クリオロ」(3,000円、限定50個)、スクエアBOXに可愛いリボンのデザインが付き、中にはボンボンショコラが12粒入った「Ruban(リュバン)」(5000円、限定10個)、ラウンドBOXにバラの花のチョコレート細工が施してあり、ボンボンショコラ11粒とオランジェット4本が入った「Rose(ローズ)」(5,000円、限定10個)など、「デコレーションショコラボックス」も人気が高い。これらは、ショコラボックスのみ(3,000円)でも購入可能で、自分で好きなショコラを詰め合わせることもできる。同店のシェフショコラティエ小杉さんは「『味見』を兼ねて一粒ずつ試して好きな味を見つけ、自分でオリジナルの『ショコラボックス』をつくるのものもオススメ」と話す。「クール・ド・クリオロ」「ショコラボックス」ともに、予約は1月31日より店頭でのみ行っており、なくなり次第終了。
ベルアメール2003年12月、代官山の「カノビアーノ」の完全プロデュースによりオープンしたのがアニバーサリーレストラン「カノビアーノ ヴィレッタ」(TEL 03-5784-6637)。アニバーサリーをコンセプトにした完全予約制の同店では、2月8日から15日までバレンタインスペシャルウィークと題して「PASSION VALENTAINE」(13,500円)という特別メニューを実施する。この期間の夜のコースは特別メニューのみの取扱い。ただしバレンタイン当日は「大盛況で現在のところ予約が一杯」と同店広報担当の紺野さんは嬉しい悲鳴をあげている。
全7品からなるコースは、カカオパウダーを生地に練り込んだ手打ちパスタで作った「鶉のラビオリ」や、「クアトロチョコレート」と名付けられた4種類の風味・食感の異なるチョコレートをドルチェとした内容になっており、バレンタインらしくチョコレートをふんだんに盛り込んだ内容だ。さらに同店ではバレンタインを前に、早くもホワイトデーに向けたコースの設定もしている。バレンタイン特別メニューと同様、全7品から構成されており、旬のアスパラガスを使った冷菜や、キャラメル型のパスタ料理、また、ホワイトデーのお返しによく使われているキャンディーから、アメ細工をあしらったドルチェなどが楽しめる。期間は3月8日から14日まで。
カノビアーノ ヴィレッタ2003年11月に恵比寿にオープンしたスイーツバー「BON sweets & smile」(TEL 03-3447-1063)。「スイーツ」と「アルコール」の組み合わせを提案する新感覚の店舗にはすでに感度の高い客が多く集まっている。
オープン3ヶ月の気鋭のバーがバレンタインに向けて送り出すのが「フォンダン・ショコラとリレブランのマリアージュ」(1,400円)。フォンダンショコラに玄米フレークのキャラメリゼとバニラアイスクリームをトッピングしたデセールと、サングリアのような味わいのさっぱりしたお酒、リレブランのセット。オーナー兼店長の永田さんによると「季節的にもあたたかいスイーツを出したかった。中でもフォンダンショコラはスプーンを入れたときに中からトロッとチョコレートがとろけ出る・・・そうした食べるときの楽しみもバレンタインというイベントにピッタリなのでは」と、期待を込める。
また、2月14日から3月下旬の冬期メニューとして「チョコレートフォンデュ」(2人前以上1,500円~)も用意している。フォンデュアイテムにはシュー生地にアイスクリームやフルーツを詰めたものが用意される予定。「おいしいことはもちろん、一般的なフォンデュアイテムにひと工夫加えて、遊び心もあるものを提供する予定で現在も思案中。当日までのお楽しみ」(永田さん)と新メニューの一端を明かしてくれた。
BON sweets & smile2003年8月、神宮前に再オープンした「DESSERT CONPANY(デザートカンパニー、通称:デザカン)」(TEL 03-3440-7507)が、2月1日からマンスリーデザートとしてデザカン初のチョコレートを使用したデザートを登場させた。ピーナッツ、クルミ、ココナッツの砕いたものをトッピングし、ウーシャンフェン(五香粉)をスパイスに使った「ウーシャンショコラムース」(350円)。ギフトボックス(6ヶ入り、2,000円)や化粧箱(12ヶ入り、3,500円)のギフトセットもあり、以前の店舗では取り扱っていなかったテイクアウトが可能になった。デザートカンパニーオフィスの塚本さんによると「2月はバレンタインもあるのでそれをちょっと意識したマンスリーデザートにした。ただし、店のコンセプトがアジアベースなので、中国のスパイスを使用しそれから外れないようにした」と話す。
デザートカンパニー「ハーゲンダッツカフェ渋谷」(TEL 03-5459-6400)では、1月29日から3月4日まで、チョコレートアイスクリームを使用した限定デザート「アイスクリームフォンデュ(ドリンク付き)」(2,500円)、(「ショコラ!ショコラ!!ショコラ!!!」(750円)を発売中。フォンデュのアイテムは3種類で、一口サイズの3種類のアイスクリーム(ベルジアンチョコレート、チョコレートブラウニーウォールナッツ、バニラ)、4種類のフルーツ(イチゴ、バナナ、キウイ、オレンジ)、3種類の焼き菓子(ブラウニー、ミルフィーユ、アーモンドクッキー)からなっている。2品とも都内では渋谷店のみの発売。
同社広報担当の南埜さんによると「バレンタインのために特別に作ったメニューではないが、冬はバレンタイン需要だけでなくチョコレートの人気が高まるシーズンなのでチョコレートを素材のメインにしている。結果、バレンタインというイベントにもオススメできる商品になった」と話す。また「渋谷店は東京のフラッグシップショップなので、他店にはないメニューを提供する」と経緯を明かす。また、「アイスクリームトリュフ」(600円)、「アイスクリームタルト」(500円~)、「チョコレートアイスクリームケーキ」(2,900円)などバレンタインにも最適なテイクアウトの商品も用意されている。「チョコレートアイスクリームケーキ」は要予約。
ハーゲンダッツ渋谷パルコ・パート1、7階の「Marvelous(マーベラス)」(TEL 03-3477-8964)では2月13日から15日、特別メニューとして、パスタを作る際にチョコを生地に練り込んだ自家製タリアテッレがコースに入った「バレンタインスペシャルコース」(2人で6,800円)を用意する。コースは前菜に始まり、デザートのチョコレートまで全部で8品。ドリンクもチョコレートリキュールをベースにしたカクテルなどを提供する。
同店でバレンタインデーを意識したコースは初めての試みで、マネージャーの大西さんによると「クリスマスディナーコースが好評で他の月にもこうしたコース料理の提供ができればと思っていた。普段からも『4,000円ぽっきり』といったコース料理も提供しているため、コース形式の提供は得意パターン」と話す。予約はまだ若干空きがあり、2月14日に関しては特別メニューのみの販売になる。
Marvelousデジタル携帯電話端末の販売を行っている「ノキア」では、1月22日から2月14日まで、南青山のリアルショップ「Nokia@O-parts lifestyle shop」や「Club NOKIAオンラインショップ」などで「Nokia Happy Valentineキャンペーン」を実施している。今まで期間限定のキャンペーンは数多く展開していた同社だが、「バレンタイン」と名付けたキャンペーンは初の試み。期間中に「Nokia 6650」(希望小売価格:59,800円)か「Nokia 6610」(希望小売価格:39,800円)を購入すると、ノキア特製チョコレートセットをプレゼントするというユニークな企画だ。チョコレートセットには、「Nokia 6650」を形取った携帯型ソリッドチョコレートと6種の世界のランドマークをモチーフとしたチョコレートが入っており、携帯型チョコレートは実物大で重さもほぼ本物と同。カタチだけではなく、材料もベネズエラ産シングルビーンズを使用するなどのこだわりを見せている。
ノキア・ジャパン広報部の臼井さんによると「ノキアの携帯電話は、通信契約とは別に端末だけを購入することができるため、そのデザイン性からギフトとして利用する顧客がいる。そうした人たちがバレンタインのプレゼントとしてノキアを選び、携帯電話と同じカタチのチョコレートを一緒に送ることができれば、遊び心という観点からも喜ばれるのでは」と話している。
ノキア・ジャパン昨今のチョコレート市場は、高級チョコレートや有名ショコラティエのチョコレートがもはや珍しくなくなった。バレンタインは今や「ショコラの祭典ウィーク」でもあり、ギフト需要にも増して「自分用」にチョコレートを購入する需要も高まってきた。イメージより本物志向が高まる中、特に代官山エリアは年々バレンタイン激戦区の様相を呈している。今年の広域渋谷圏のバレンタインは、大人の食文化としてチョコレートの美味しさを追求する「本格派」と、様々な食のシーンにアレンジをして新しさを提供する「個性派」に二極化しているのが特徴のようだ。