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ちょっと間抜けなサブ・キャラ狙いも!?
女子高生「マイキャラクター」事情

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■女子高生に圧倒的人気の「ディズニー」キャラクター

ティーンズを対象とした市場調査やプロモーションを手掛けるアイ・エヌ・ジー(宇田川町)では、2004年6月、渋谷の女子高生200人を対象にキャラクターについてのアンケート調査を行った。好きなキャラクターを一つだけ回答させた結果、1位は「くまのプーさん」47人、2位「おしゃれキャットのマリー」19人、3位は「ミニーマウス」と「ハローキティ」が同数で17人、5位「ミッキーマウス」15人となった。1位の「くまのプーさん」は、同社のアンケート調査では4年連続でトップを独走中。また、上位5位中、4つがディズニーキャラクターであることから、女子高生の間では圧倒的なディズニー人気が伺える。

アイ・エヌ・ジー

■「見た目の可愛さ」重視!キャラクター商品の情報源は雑誌

渋谷公園通りにある「ディズニーストア」は、渋谷の中でも女子高生御用達の店として知られている。同社広報担当の塚越さんに話を聞いた。「当店の客層は9割以上が女性で、そのうち中高生は3割程度。一番多いのは大学生やOL」と塚越さんは話す。10代女子に人気のキャラクターについは「今、人気が上昇中なのは『おしゃれキャットのマリー』。その他には『プリンセス』や『ミニーマウス』などで、『くまのプーさん』は定番的キャラクターとしてどの年代層にも幅広く人気がある。まずはプーさんからディズニーファンになるという顧客も多い」(塚越さん)とのこと。「おしゃれキャットのマリー」とは、ストーリーの主役はダッチェスというお母さん猫で、マリーは3匹いる子猫のうちの1匹。つまり物語の中では準主役だが、可愛らしさという点でダッチェスよりもマリーに人気があるそうだ。また「プリンセス」は、「リトルマーメイド」の「アリエル」を中心に「白雪姫」「シンデレラ」「美女と野獣」の「ベル」、「アラジン」の「ジャスミン」、「眠れる森の美女」の「オーロラ」など、ディズニーの物語に出てくるお姫様キャラクターを総称したもの。10代女子に好まれるキャラクターは女の子のキャラクターが優位で、特に「おしゃれキャットのマリー」のように白やピンクを基調とした可愛らしいデザインが人気のようだ。

塚越さんは「10代女子に人気が出たキャラクターは、後に他世代へと広がりを見せる傾向にある」と言う。「おしゃれキャットのマリー」も、2、3年前に女子高生から人気に火がつき、現在は大学生やOLにもその人気が広まった。しかし、10代が人気を牽引するキャラクターは、マリーやプリンセスのように概ね「ふわふわ・キラキラ系」だが、現在は別路線で「やんちゃ系」のキャラクターが注目されているという。たとえば「近年映画が公開されて人気が出た『リロ アンド ステッチ』の『ステッチ』は、これまで10代女子に好まれていたキャラクターとは、少し雰囲気が違うのでは」と塚越さんは見ている。「ステッチ」はやんちゃなエイリアンというキャラクター設定で、体の色はブルー系、見た目も確かに「カワイイ」という形容は合わないと言える。「10代女子の中には、人とは違うキャラクターを探しているタイプの子もいて、そうした子はなるべく認知度の低い、成長段階のキャラクターに目を向ける」と塚越さんは言う。みんなと同じ物は持ちたくない、という10代女子は、自分だけのお気に入りである「マイキャラクター」を求めているようだ。

ディズニーストア ディズニーフロア おしゃれキャットのマリー

10代女子に人気の商品については、塚越さんは「携帯周りのアクセサリーやシール、文具やポーチなど細々した雑貨が人気」と話す。携帯ストラップについては、10代女子の場合比較的大きめのぬいぐるみが付いたものがよく売れているようだ。また、最近のヒット商品は携帯ボタン用のシールで、メールなどの使用頻度が高い10代はシールが消耗するのも早く、リピーターも多い商品だそうだ。また、シールは女子高生の必須アイテムと言われる「プリ帳」作りにも欠かせない。携帯やプリ帳に張りやすいように、シールの大きさは年々小さくなっているらしい。「首から下げられる『ネックパース(924円)』も女子高生に人気で、携帯やプリクラなど様々なものを入れて使用しているだけでなく、ファッションとして首から下げたりしているようだ」と塚越さんは言う。これらの商品は、同じキャラクターでも季節によって洋服のデザインを替え、約2ヶ月周期で新商品と入れ替える。「女子高生の中には、学校帰りの定番コースとして当店に来店する子も多いため、常に新しい商品で新鮮味を維持するようにしている」と塚越さん。ちなみに、同店は1階が新商品のフロア、2階がステイショナリーやアクセサリー、3階がおもちゃやぬいぐるみ、ベビー用品のフロアになっているが、2階は別名「ティーンズフロア」、3階は「ファミリーゾーン」と呼ばれている。

10代の来店動向については「キャラクター商品の情報源としては雑誌が最も有力らしく、ティーン誌に掲載された商品は飛ぶように売れていく」と塚越さんは話す。特に、人気モデルの私物として紹介された場合は、その影響力も大きいらしい。また、他年代に比べて、店内を隈なく見て回りじっくりと商品を選んだ上でシールなどの小物を一つ買っていく、というケースが多いのも10代客の傾向だそうだ。「お小遣いの事情もあると思うが、10代女子はかわいらしい買物の仕方をするのが特徴的。他年代に比べると、店内の滞在時間も非常に長い」(塚越さん)とのこと。また、塚越さんは「10代女子は、キャラクターの性格やストーリーの内容はあまり関係なく、あくまでもキャラクターの見た目の可愛らしさを重視する傾向にある」と言う。通常のマニアの場合は、ストーリーはもちろん、そのキャラクターの性格やデータを知っているものだが、10代女子の場合は好きなキャラクターでも名前さえ知らない場合があるらしい。

ディズニーキャラクターが女子高生に支持される要因については「ディズニーランドの存在も大きいのでは。パーク体験での感動が、キャラクターを好きになるきっかけになっているのかもしれない」と塚越さんは推察する。ディズニーは映画やビデオ作品も豊富で、知っているかどうかは別として、そのキャラクター設定は詳細な位置付けがされている。たとえば、犬のキャラクターの「グーフィー」には、人格もあれば言葉もしゃべり、洋服を着て二本足で歩くが、同じく犬のキャラクターである「プルート」は、ディズニーの世界ではミッキーマウスの愛犬、という位置付けであるため、二本足では歩かないし、言葉もしゃべらないのだそうだ。こうした緻密な設定が、キャラクターにリアリティを与え、愛される要因となっているのかもしれない。

ディズニーストア(リテイルネットワークス)
携帯周りのアクセサリー 携帯周りのアクセサリー ネックパース ティーンズフロア

■見ていて和む「癒し」派、ちょっと間抜けなサブ・キャラ狙い派も

渋谷センター街を歩いていた女子高生10人に、好きなキャラクターについて聞いたところ、「ミニーマウス」が2人、「くまのプーさん」2人のほかはすべて1人ずつで、「アリエル(リトルマーメイド)」「ベル(美女と野獣)」「おしゃれキャットのマリー」「ハローキティ」「スティッチ(リロ アンド スティッチ)」「(くまのプーさんに出てくる)イーヨー」という名前が挙がり、10人中9人がディズニーキャラクターを答えている。「イーヨー」と答えた高2のミホちゃんは、その理由について「映画の中で、よくシッポが取れてしまう間抜けな性格なんだけど、そこがカワイイ。見ていると和む」と話す。また、「アリエル」と答えた高2のリサちゃんは、「アリエルが好きな理由は人魚が好きだから。自分の部屋のベッドカバーからカーテン、スタンドまで、アリエルのグッズは全部で20個以上持ってる」と言う。取材時に首から掛けていた携帯のストラップもアリエルのもので、「ネットオークションで100円で競り落とした。アリエルのストラップはなかなか無いから貴重なんだよ」(リサちゃん)とのこと。ちなみに、持っているキャラクターグッズで一番多かったのは5人が「携帯ストラップ」と答えていた。

可愛くないと思うキャラクターや嫌いなキャラクターについて質問すると、高1のユイちゃんは「サンリオの『ポムポムプリン』みたいなキャラクターは子供っぽい」と言う。また、「『ピグミン』みたいなゲームソフトのキャラクターとかはちょっと・・・」(ミキちゃん・17歳)などの意見も聞かれた。「おしゃれキャットのマリー」が好きだというミスズちゃん(16歳)は「花とかハートをモチーフにしたデザインのキャラクターが、女の子っぽくて好き」とのこと。やはり、10代女子に受け容れられるキャラクターは、見た目の「可愛らしさ」やデザインの「女子高生らしさ」が大切なようだ。

新しいキャラクターの情報はどこで仕入れるか、という質問に対し、複数回答で一番多かった答えが「友達から」で5人、次に「テレビ」が3人、「雑誌」が2人、「お店」2人、「ゲームセンター」1人という結果だった。取材した女の子たちはすべて、制服姿で何らかのキャラクターグッズを2、3個は携帯しており、学校で友達に見せたり、見せられたりといった情報交換を行っているようだ。また、「お店」と答えたミキちゃん(17歳)は、「公園通りのディズニーストアは週に2回は行く。あとは、原宿のキティランド」と話していた。

10代女子のキャラクター好きの背景には「おしゃれキャットのマリー」や「ハローキティ」のような可愛いものを持っていたいという思いのほかに、「くまのプーさん」のように「見ていて和む」という癒しを求める心理も働いているようだ。全般的には白やピンクを貴重とした女の子らしいキャラクターが人気の主流だが、「間抜けな性格」「やんちゃな性格」のキャラクターを「カワイイ」と評するサブキャラ狙いの少数派の女子高生も見逃せない存在だ。

© Disney

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