1979年、青山通りに面した場所に「国際児童年」を記念して厚生省(当時)により構想・建設された大型施設が「こどもの城」。7月20日(土)~9月1日(日)を「夏休み特別期間」として、多くのプログラムを開催予定。「汗はすばらしい友だち~世界スポーツめぐり~」(期間中毎日)、「ペーパープレーンファクトリー」(期間中毎日)、「造形発見展『建築と造形』」、「世界の楽器にチャレンジしよう!~面白楽器商店街~」(7月29日~9月1日)、「人形劇カーニバル『アッとびっくり!人形劇』(8月16日~19日)、「不思議な映像実験室『絵がうごいてみえるおもちゃの展示とワークショップ』(8月16日~9月1日)ほか。また、「ダンスビエンナーレTOKYO2002」のプログラムのひとつで、小・中学生を対象とした「こどもコンテンポラリーダンス」のワークショップ(8月7日~18日)も開かれる。場所は、青山劇場と青山円形劇場。参加費は無料。
「こどもの城」では以上のイベントの他に、期間スタイルの講座を開いているが、夏には“夏休み短期コース”を設け、普段通えない子供たちにも門戸を開いている。“スポーツ系”では、「こども集中水泳講習会」(4歳~中3、A~Dコース受講料各7,000円、8月25日まで)や「体操教室ガンバ2002」(小1~小3、8月21日~25日、受講料7,000円)。“クラフト系”では、「親子で作ろう 手作り楽器のワークショップ」(小1~高3の親子、開催日・受講料は楽器によって異なる)、「夏休み造形教室」(小.3~高3、開催日・受講料はプログラムによって異なる)などが開催される。“映像・科学系”では、「天体望遠鏡工作教室」(小4~高3、8月11日~15日、受講料2,200円)や「視覚玩具プラクシノスコープ作り」(小1~高3、8月26日~9月1日、受講料2,200円)など。なお、「こどもの城」では、夏休み期間中(9月1日まで)何回でも利用できる“フリーパス”を発売中。大人用の「わくわくパス」は1,800円、子供用の「ドキドキパス」は1,500円。
こどもの城こどもの城からわずか300mの距離にある「東京都児童会館」は東京オリンピックの開催年でも1964年に開設された。ここでは、後述する「夏休み児童・青少年演劇フェスティバル」が一大イベントだが、「お手伝いロボット『ロビン君』をつくろう!」(8月10日、材料費800円)や手作り「お化け屋敷」(8月24日~31日)、「夏休みこども将棋大会」(8月27日)など、手作り感覚にあふれたイベントが開かれる。特に「お化け屋敷」は作るのも参加するのも小中学生。小中学生のボランティアに呼びかけ、骨組み、飾りや仕掛け、演出など、すべて自分たちで行う。
東京都児童会館さらに、児童会館からJR山手線のガードを越えて約400m行った場所にあるのが「電力館」(神南)は1984年の開設。夏休み期間中は「ゴジラワールドin電力館」が開催中(9月1日まで)。内容は“でんき&ゴジラクイズラリー”“ゴジラ特撮スタジオ”“ゴジラ・ミュージアム”など、ゴジラに関する催事が館内を埋め尽くしている。他にも「親子手づくり工作教室」(7月20日~8月8日、8月12日~15日、8月19日~21日)、「3Dサマーシアター~リカちゃん ふしぎな海の物語~」(9月1日まで)、「サマーサイエンススクール」(8月9日~11日、8月16日~18日)、「夏休み料理コンテスト」(8月10日、11日、14日、15日、小中学生対象、参加費各1,500円)、「体験! こどもIHクッキング」(7月28日~30日、8月25日・26日、27日・28日、小中学生対象、参加費無料)など、イベントが盛りだくさん。
電力館こどもの城、東京都児童会館、電力館に加え、「たばこと塩の博物館」(神南)、「NHK スタジオパーク」(神南)など、渋谷にある5つの展示館をすべてまわると、プレゼントがもらえる「渋谷スタンプラリー」も9月1日まで開催している。渋谷区が後援するもので、5つの展示館のスタンプを集め、好きな展示館の受付へ持参すれば記念品が進呈されるもの。さらにキーワードを見つけてパスワードを完成させ、いずれかの受付で受け取った応募用紙に記入して提出すれば、抽選で「e-kara」が当たる。
渋谷スタンプラリー事務局(NHKスタジオパーク内)渋谷は一般的には「若者の街」とイメージされるが、意外にも子供を対象とした大型施設が充実しており、JR山手線をはさんで上記の5つの施設が直線距離で約1キロの範囲に点在する集積エリアでもある。集積の理由は、交通アクセスの良さや集客力の高さに加え治安性の高さなどが挙げられる。大型施設では年間予算の中に相応額の「夏休みイベント予算」を組み込んでいる。年間動員数を左右する夏休み期間中は、利益を追求しない公共施設とはいえ、利用率の向上を目指した施策が目白押しとなる。催しの内容は、異文化体験や科学的な探究心を促すもの、工作など頭と手先を同時に動かし、創造力を喚起するもの、スポーツを通じて身体を動かすことの楽しさを促すものなど、価値観の多様化に合わせてバラエティ豊かな内容となっている。科学的興味、健康な身体、異文化への関心などは、オトナにとって「子供ははこうあって欲しい」という願いの反映なのだろうか。
渋谷では今夏、子供のための映画祭や演劇祭が開かれる。子供のための国際映画祭「キンダー・フィルム・フェスティバル」は「こどもの城」を会場に行われる夏の恒例イベント。今年で10回目を迎える。期間は8月2日~10日。場所は「こどもの城」スタジオBと「青山円形劇場」。本映画祭はベルリン国際映画祭の1部門である「キンダー・フィルムフェスト・ベルリン」と提携して開かれるもので、イギリス、フランス、デンマーク、オーストラリア、日本など世界各地から集めた子供向けの映画(ドラマ、アニメ)を上映し、子供審査員が審査にあたる。
“観る”だけでなく、様々な映像体験を促すワークショップには、アニメーション作品の声を吹き替える「声優体験ワークショップ」(8月3日~6日)、外国からゲストを招いてアニメーション作りの秘密に迫る「アニメ制作ワークショップ」(8月7日~8日)も行われる。
キンダー・フィルム・フェスティバル実行委員会事務所一方、東京都児童会館で開催中の「夏休み児童・青少年演劇フェスティバル」(8月11日まで)は第30回を迎える名高いイベント。期間中はミュージカル、舞台劇、人形劇など、いろんなジャンルの演劇が催される。料金は前売2,000円~2,700円(演目によって異なる)。同時に「紙でつくる人形劇」(7月30日、料金2,000円)や「ことばのコンサート」(7月31日、料金500円)など、演劇に関する「ワークショップ」も開かれる。
創立50周年を迎えた「劇団ひまわり」(恵比寿)では、8月16日(金)~9月1日(日)、劇団専用劇場「シアター代官山」にて記念公演「赤毛のアン」を開く。出演は同劇団員で、多くの子役を輩出してきた「ひまわり」らしい公演といえよう。同劇団出身で、プロダクション「砂岡事務所」所属の女優、中嶋朋子がナレーターを務める。前売:4,300 (指定)、3,800円(自由)。当日:4,500円(指定)、4,200円(自由)。
劇団ひまわり8月10日(土)~22日(木)、恵比寿ガーデンプレイスの「ザ・ガーデンホール」と「ザ・ガーデンルーム」で開かれる「絵本カーニバル2002 TOKYO」は、絵本をテーマにした体験型絵本イベント。内容は名作・新作など約1,500冊が読める「絵本の森」、安西水丸、片岡義男、忌野清志郎、夏木マリ、藤井フミヤ、村上隆らタレントやミュージシャン、作家など各界の著名人が選択した「あの人が選ぶ『私のとくべつな絵本たち』」、絵本と雑貨のワールド・バザール「カーニバル・マーケット」、フードユニット「Goma」プロデュースの「マジカルえほんカフェ」、子供たちが参加できる「絵本づくりワークショップ」など盛りだくさん。期間限定の絵本のテーマパークと言えよう。入場料は大人(高校生以上):前売り700円・当日800円、小・中学生:前売り400円・当日500円、幼児(小学生未満):前売り200円・当日300円、3歳未満:無料。
「チルドレンズミュージアム研究所」(神宮前)所長で、同イベントの総合プロデューサーである目黒さんは「絵本は人に何かを伝え、また想像力を喚起させる、素朴だけど最もイマジネーションにあふれ、他人とのコミュニケーションを図れるメディア。しかも、紙と色と言葉で成り立っているシンプルなメディア」と、絵本の魅力を語る。しかし、「絵本は図書館でも書店でも家庭でも、隅っこにあって、ちょっと冷遇されている」(目黒さん)のが現状。「日本では絵本は“子供が読む本”とされているが、実は絵本は“子供も読む”もの。子供も大人も一緒に絵本の魅力を知ってほしいと考えた。親子関係の中に絵本を置くと、そこに新しい関係が出てくる。ダイナミックに一堂に並ぶ圧倒的な数の絵本、海外の作家の新作、著名人が選んだ絵本など、いろんな角度で絵本と出会って欲しい」と、開催のモチーフと意欲を語る。一方、「絵本カーニバル」の造作にもひと工夫がうかがえる。棚やカフェのテーブルなどダンボールを使って展示を試みる。これは「再生可能な紙をアレンジする実験」でもある。
目黒さんは子供がひめている可能性に目を向ける。「絵本にはキャラクター、色彩、世界じゅうの様々な価値観がつまっている。教えなくても子供たちは自分で勝手にイマジネーションを足していける。そういう意味で絵本の力はすごい」。そして同時に、大人にも言及する。「大人になるにはいっぱい捨てなくちゃいけないものがあるが、捨てなくていいものまで捨ててしまうことが多い。子供の時にいろんなものに感動した。そこに絵本もあった。大人が絵本の中から、かつて感動した経験や気持ちを拾い集める作業をするにはいい機会。自分だけでなく、自分の子供や近所、甥や姪に、子供たちと一緒に絵本を読みあうことで関係が変わる気がする」。
絵本カーニバル2002表参道には“新潟の里山の夏がやってくる”。これは新潟県の首都圏向け情報発信館「表参道・新潟館ネスパス」(神宮前)が7月27日(土)~8月11日(日)に開くイベント「自然はともだち~里山であそぼう~」(入場無料)のこと。夏休みに首都圏の子供たちに“新潟の夏”を体験してもらおうと、同館が毎年催しているもので、今年は日本の原風景「里山」をテーマに、自然の大切さや人が自然に対して果たせる役割など、見て聞いて体験できるものになっている。
期間中は実際に新潟産の木を持ち込むなど、会場は「里山」を連想させる造作にあふれる。メダカやドジョウを放した池や、約200匹のカブトムシやクワガタムシにさわることのできる特設コーナーを設けるなど、新潟産の生き物が表参道にやってくるのもポイントのひとつ。また、里山で採れた素材を使った工作教室も実施される。同館イベント担当ディレクターの太田さんは「新潟には豊かな自然が残っている。夏休みで子供たちも多く足を運んでくれるので、こういう機会に新潟の自然を紹介したい」と、抱負を語る。「里山は子供にすれば非日常になると思うが、お父さんやお母さんにとっては子供の頃、田舎のおじいちゃんやおばあちゃんの所に行ったようなノスタルジックなものになるのでは」(太田さん)と、親子で楽しめるイベントになりそうだ。
表参道・新潟館ネスパス7月6日(土)、原宿交差点近くの表参道沿いのビルに「子供住宅展示場」がオープンした。有限会社トイスターが家や家具を8歳以下の子供のサイズに合わせて開発したもので、気鋭の建築家が設計を担当した木造平屋建てのキッズハウス「スターハウス」がビル内に展示されている。床面積8.64平方メートルの1LDKタイプ、木造軸組工法で身長1メートル前後の3歳児用で、まさに究極の“ままごと”用空間でもある。ちなみに展示タイプのものは650万円で、南欧風のメゾネットタイプは150万円から。同社では、大人の行動や生活様式を真似しながら社会性や生活習慣を学ぶ“ごっこ遊び”に際して、イマジネーションを喚起する遊具としてキッズハウスをポジショニングしている。「日持ちしない既存のおもちゃとは違って、日持ちする“環境”の商品化を目指した」と、同社の吉井副社長は話す。
また、「スターキッチン」は、安全性と子供の使いやすいサイズに配慮して開発された本格的な“子供専用”キッチンユニットで、HOBBSと提携してシンク、カウンター、蛇口などがすべて子供サイズに作られている。同様に「スターファニチャー」は、世界的に有名なブランド「mobilia」と提携し、同社のファニチャー商品のデザインとテイストを忠実に子供サイズで開発したもの。家具だけの販売も行う。「3~8歳の間に本物と触れる機会が、将来の価値観の形成に与える影響は大きい」と、吉井副社長は付け加える。国内での販売は高額所得層および在日外国人をターゲットにしているほか、商業施設の遊戯施設や幼稚園・保育園などからの引き合いも舞い込んでいる。安全性・機能性・デザイン性に加え、創造力を引き出す空間づくりというコンセプトが、パブリックにおける受容性を高めそうだ。同社では、将来“キッズハウス市場”の本場、アメリカでの展開も予定している。
トイスター TEL 03-5766-2755今春リニューアルオープンした109-2「ジュニアシティ」(7階)でも夏休みはイベントが目白押し。8月10日(土)、ジュニア雑誌やCMで活躍中の人気モデルがカリスマ店長に変身し、モデルと一緒にデジカメ撮影会が催される。「ANGEL BLUE」(榎本亜弥子、佐久間信子)、「pom ponette」(大寺祐恵、渡辺理奈)、「DAISY LOVERS」(篠原さや、峰のぞ美)、 「mezzo piano」(森田美穂、笹岡莉紗)。また、各ブランドで当日1万円以上購入した方先着15名に撮影券を配布し、モデルと一緒にデジカメ撮影を行い、各ブランドオリジナルカレンダーにしてプレゼントもある。また、8月20日には、前述した4ブランドのオリジナルステイショナリーを扱う「レインボーパーク」のオープンを記念して、各ブランドのデザイナーが限定スケッチブックにサインをする「デザイナーサイン会」も予定。ファッション先行の女の子のジュニアマーケットは、加熱気味。
109-2英会話スクールでは、キッズやジュニア対象の夏期集中コースが花盛り。「ベルリッツ渋谷ランゲージセンター」では8月末まで「セサミ・イングリッシュ夏期集中コース」を開催。ネイティブの先生が、セサミのキャラクターを使ってリード。4~7歳15,750円、8~12歳26,250円。一方、渋谷ユネスコ協会(猿楽町)では、親と子(小学生低学年、小学生高学年)を対象に「親と子のための国際理解英語教室」(参加費1,000円)を開催する。期間は8月3日、10日、9月7日。場所は「渋谷女性センター アイリス」。渋谷周辺では、従来の学習塾に加えて、目的を絞りより具体的なスキルを獲得するための学習機会が目立つようになってきた。
ベルリッツ 渋谷ユネスコ協会 TEL 03-5784-3825子供を対象としたマルチメディアスクール「フューチャーキッズ」を運営する「フューチャーインスティテュート」(渋谷)は、1999年の設立。「子供のための就職セミナー“リストラっ子にならないために”」(2000年)、シンガポールに研修員として派遣する「子供IT視察団」(2001年)など、学校や施設ではできないプログラムを実施してきた。「フューチャーキッズ」は、コンピュータを使い、技術や知識だけでなく、将来世界を舞台に活躍する子供たちに必要な知恵を身につける場として1983年にアメリカで誕生、現在、世界70ヶ国以上でトレーニングが実施されており、体系化された世界標準の教育カリキュラムにより運営されている。クラスは対象年齢に大別し、シルバー(4~8歳)、ゴールド(9~12歳)、プラチナ(13~15歳)の3クラスを設定。「フューチャーキッズ」では、世界を舞台に活躍する子供たちに必要な能力として下記の3点を挙げている。
現在、「フューチャーキッズ渋谷ラーニングセンター」では、夏休みの短期間集中(各3日間)のコース「サマーデイキャンプ2002」を実施中。プログラムは、自分の調べたことをホームページにまとめる「ホームページチャレンジ」(10歳以上)、コンピュータを使って旅行の準備や旅先での計画を立てる「トラベラーズ」(6~10歳)、コンピュータで3次元の絵を描く「3DCGチャレンジキャンプ」(10~15歳)、写真やインターネットを使って動物の世界に親しむ「アニマルキャンプ」(4~8歳)の4コース。
同社代表の鶴谷さんは、渋谷に「フューチャーキッズ」を開校した理由を次のように説明する。「目指すものの純粋さや思いと、それを実現する手法とはまったく別の話。手法としてはマーケティングを使ってクールに現実的に見ていかなくてはいかない。マーケティングの原則として商品やサービスはイノベータからフォロワーに広がっていく。感度のいい、敏感な層に最初に使ってもらった商品やサービスものが徐々に広がるのが原則。そういう人が動いているの街が渋谷・恵比寿・広尾の三角地帯に多く集まる傾向が強い」。将来、世界を舞台に活躍する子供たちに必要なスキルを身につけさせたいと願う、経済的な余裕のある知的な親が住む、あるいは集まる街が渋谷エリアなのである。
鶴谷さんは「“子供は夢を持て”というだけの大人のメッセージには違和感を覚える。夢を見つけ、現実化するためには何らかの訓練が必要。『フューチャーキッズ』では最低限の論理力やプレゼン力、読み書き、計算などもカリキュラムに入れており、その上で色々な体験をしてもらえれば夢は自然に見つかり、またゴールも見えてくると考えている」と、「フューチャーキッズ」のポリシーを説明する。「今でも、夢を叶えるためには苦労を重ねるといい、という勘違いがある。また、個性や自由の尊重、個性の時代といったスローガンなどが前面に出てきて、それを勘違いした人が広めた場合、勉強のできる子は冷たいとか、悪い子だというような風潮を作ったりする。偏差値が高いことは、足が早いのと同じ。偏差値が高いことは称讃に値すること」と、昨今の教育のあり方に苦言を呈する。最後に「一般的に日本人はコミュニケーションやプレゼンが苦手。子供の頃から自然に覚えていくことが大事」と、未来のアントレプレナー誕生に期待を寄せる。
フューチャーインスティテュート フューチャーキッズ渋谷には “都市型夏休み”のバリエーションが数多く用意されている。丈夫な身体、異文化や科学、芸術に対する関心の深さ、創造力、表現力、コミュニケーション能力など普遍的なものから、英語力やパソコン、ITスキルなど、より具体的なスキルを獲得するものまで幅広い。英語力やITスキルの必要性は、親(=大人)が直面している課題でもある点は興味深い。さらに少子化を狙った“ひとり豪華主義マーケット”も確実に裾野を広げている。特に、ファッションや教育ジャンルで顕著な傾向で、両親のみならず祖父・祖母の財布をも狙ったマーケットが展開されている。「こども」をターゲットとする企業にとって、夏休みは最大の拡販期。低成長期の今、クールな消費感覚を持つ子供の好奇心を引き出し、子供に対するホットな期待を背景に、限りある両親の可処分所得をいかに引き出すかが鍵となる。
今夏より実施された公立の小中学校の「絶対評価」による新しい通知表は、一人ひとりが目標に対してどれだけ頑張ったかを反映させるもの。文部省の方針は、知識量に偏りがちな従来の“学力”でなく、自分で課題を見つけて学び、考える“生きる力”を育てることを重視するもので、従来の知識量だけで競う社会から個性を磨く時代への移行とも言える。子供向けのカルチャー・プログラムが豊富に用意されている渋谷は、子供が素直に興味を抱ける新たなカルチャーと出会う絶好の機会でもある。