3月25日、恵比寿南交差点近くに全フロアが飲食店の「大箱系」レストランコンプレックス「CONZE恵比寿(コンツェ恵比寿)」がオープンする。同ビルは敷地面積約170坪、地上7階地下1階建てで、1フロア約90坪の空間に1レストランを基本とし、ビル全体で8店舗が入居する。同物件は「上質感と本物感」をテーマにした都市型ダイニングビルだ。物件名の「CONZE(コンツェ)」は、英語の「concerto」(協奏曲)の語尾を省略し、発音に合わせて語尾の綴りを変えた造語。
同物件は不動産投資商品として野村不動産が企画・開発を手掛け、竣工後も野村不動産のグループ企業が管理・運営を手掛ける。それだけに、開発面でも緻密な戦略が見受けられる。野村不動産ペアシステム事業部の伊藤さんは「同物件はテナントミックスによってパワーを出すことを狙った。恵比寿には大箱の店も点在するが認知されるまでに時間がかかる。『コンツェ恵比寿』は8店舗集まることで認知されるスピードが8倍になる。認知されると店を選ぶ際に想起されやすくなり集客力につながる」と、コンプレックス業態への自信を見せる。駅から徒歩3分の立地に関しても「恵比寿では意外に大通り沿いは難しい場所で、駒沢通りでは、その勢いに店の匂いがかき消される。路地裏に文化が宿る恵比寿は隠れ家が似合う場所。『コンツェ恵比寿』もそういう場所にしたい」と、一本入った場所にあることのメリット感を明かす。駅西口の恵比寿銀座を真っ直ぐ進むと、微妙な道の角度で同物件が真正面に見えるのも「狙い」のひとつだと言う。
さらに伊藤さんは「路面店」志向の高さにこだわりを見せる。実際、こうした大型のテナントを集めるのはリスクも大きいという。そこで、テナント集めに際しては「路面で勝ちうるテナント」にこだわりをもってリーシングを行った。「丸ビルや汐留のようにビルが前面に出るのではなく、個店個店を前面に打ち出したい」と話す。路面店的性格を高めるため、営業時間は店によって異なり、深夜営業店も少なくないのも特徴だ。同ビルのターゲットは、当初20代後半から40代前半を想定していたが、各テナントの想定を見ると20代前半から50代に広がった。伊藤さんはこの広がりを「年齢ではなく、恐らく利用動機や感性で切っている結果」と話す。野村不動産では来年3月、銀座5丁目に同様の飲食店複合ビルを竣工する。開発テーマは「食の原点回帰」。
野村不動産このビルで注目されるのは、フレンチの重鎮、井上旭シェフと、イタリア料理界の若き新星、鵜野秀樹シェフの両店。「フランス料理人40余年の夢の集大成」という井上シェフに対し、鵜野シェフは「イタリア料理の原点」に立ち返って挑むという。
ビルの顔となる1階にはフレンチの「De ROANNE(ドゥ・ロアンヌ)」(TEL 03-5773-1333)がある。ガラス張りの窓にレースのカーテンという雰囲気がオトナの余裕を感じさせる空間に仕上がっている。同店は、フランス料理の重鎮・井上旭氏がオーナーシェフを務める「シェ・イノ」(京橋)、「マノワール・ディノ」(青山)に次ぐ3店舗目。井上氏は21歳で渡欧、スイス・ドイツ・ベルギーで修行を重ね、フランスの三つ星レストラン「トロワグロ」「マキシム」で働いた後に帰国、31歳の若さで銀座「レカン」の料理長に招かれた。その後1979年、京橋に「ドゥ・ロアンヌ」を、1984年に「シェ・イノ」を開店した。ちなみに店名の「ドゥ・ロアンヌ」は「トロワグロ」がある町の名前からとったもの。
同店のランチは4コース(3,000円、4,000円、5,000円、シェフおまかせ)、ディナーは3コース(8,000円、10,000円、円、12,000円)で、既存の2店よりはリーズナブルな価格設定になっている。同店支配人の齋藤さんは「ターゲットは年配層だが、比較的若い人も入りやすい店にしたい」という。また「1階で営業できることも、同物件への出店を決めた大きな要因」(齋藤さん)と話す通り、3.8メートルの天井高を生かしてウエディング対応にもなっているの。店内には新婦のメイクルームや親族の控え室などが用意された。通常営業時の席数は52席。
一方、6階の「TRATTORIA KIORA THE FUOCO(トラットリア・キオラ・ザ・フォーコ)」(TEL 03-3715-1830)は、麻布十番「エノテカキオラ」「リストランテキオラ」を手掛けるイタリアンの若き新星、鵜野秀樹シェフがプロデュースする店だ。店名の「FUOCO(フォーコ)」は「火」を意味するイタリア語。同店では、薪窯を使って新鮮な食材を豪快かつ繊細に焼き上げた、イタリアの地方色豊かなメニューを提供する。既存の2店が「モダン」を追求したのに対し、同店は「スタンダードで、リラックス&カジュアル仕様を目指す」という。また「キオラ」では3店舗の購買パワーを発揮して、全国で毎月5頭のみ生産される希少性の高い「道産アンガス牛」や「アベル黒豚」「熊本コーチン」など、素材へのこだわりをさらに高めている。
客席は全部で108席だが、内訳はラウンジ30席、ダイニング16席、個室6室34席、テラス28席と、多様なニーズに対応できる空間を目指した。その結果、既存の2店では入店できなかった子供の入店が可能になり、「ファミリー需要にも積極的に対応していく」(恵さん)と話す。同店の想定ターゲットは20代から40代。客単価は夜6,000円を見込む。同店を手掛けるのは、今、最も勢いのあると噂されるフードベンチャーのグラナダ。同社は同じくイタリアンの「ISOLA(イゾラ)」シリーズなどの店舗も手掛けており、3月30日にグランドオープンを迎える「COREDO日本橋(コレド日本橋)」には一挙に3店舗を出店する。
キオラ最上階は「IMAIYA WINE & GRILL(イマイヤ・ワイン&グリル)」(TEL 03-5773-2244)が2フロアを使って展開するもので、天井高6メートルの吹き抜け空間を利用したワインセラーと8FのVIPメザニン席などの洗練された空間が目を引く。店内は、ニューヨークのホテル「W New York-Times Square」などのデザインを手がけたインテリアデザイン会社「YABU&PUSHELBERG」が、日本のレストランデザインを初めてプロデュースしたもの。空間を構成する素材はアメリカやドイツ、イタリアなど世界中から調達し、石ひとつに至るまでこだわり抜いたものを使っており、広報宣伝部マネージャーの藤原さんは「食材にこだわる企業として、同社の素材へのこだわりに共鳴して起用した」と話す。この空間で、こだわりのある比内地鶏や、世界のフォアグラを使った最上級のチャコールグリルが楽しめる。
「今井屋」は「今井屋本店」の屋号で展開する高級焼鳥屋だが、「IMAIYA」では、おしゃれな空間で、普段使いの店づくりを目指す。「コンツェ恵比寿」出店は、他に出店するテナントの客単価の高さが大きかったとも話す。同店を手掛けるのはフードスコープ。本社のある恵比寿では、「今井屋本店」の他、「MAIMON」「今井屋花月」「米門茶寮」「今井屋茶寮」を展開しており、「IMAIYA」を加えて恵比寿での展開は6店舗となった。
フードスコープ一方、6階の「TRATTORIA KIORA THE FUOCO(トラットリア・キオラ・ザ・フォーコ)」(TEL 03-3715-1830)は、麻布十番「エノテカキオラ」「リストランテキオラ」を手掛けるイタリアンの若き新星、鵜野秀樹シェフがプロデュースする店だ。店名の「FUOCO(フォーコ)」は「火」を意味するイタリア語。同店では、薪窯を使って新鮮な食材を豪快かつ繊細に焼き上げた、イタリアの地方色豊かなメニューを提供する。既存の2店が「モダン」を追求したのに対し、同店は「スタンダードで、リラックス&カジュアル仕様を目指す」という。また「キオラ」では3店舗の購買パワーを発揮して、全国で毎月5頭のみ生産される希少性の高い「道産アンガス牛」や「アベル黒豚」「熊本コーチン」など、素材へのこだわりをさらに高めている。
客席は全部で108席だが、内訳はラウンジ30席、ダイニング16席、個室6室34席、テラス28席と、多様なニーズに対応できる空間を目指した。その結果、既存の2店では入店できなかった子供の入店が可能になり、「ファミリー需要にも積極的に対応していく」(恵さん)と話す。同店の想定ターゲットは20代から40代。客単価は夜6,000円を見込む。同店を手掛けるのは、今、最も勢いのあると噂されるフードベンチャーのグラナダ。同社は同じくイタリアンの「ISOLA(イゾラ)」シリーズなどの店舗も手掛けており、3月30日にグランドオープンを迎える「COREDO日本橋(コレド日本橋)」には一挙に3店舗を出店する。
キオラ最上階は「IMAIYA WINE & GRILL(イマイヤ・ワイン&グリル)」(TEL 03-5773-2244)が2フロアを使って展開するもので、天井高6メートルの吹き抜け空間を利用したワインセラーと8FのVIPメザニン席などの洗練された空間が目を引く。店内は、ニューヨークのホテル「W New York-Times Square」などのデザインを手がけたインテリアデザイン会社「YABU&PUSHELBERG」が、日本のレストランデザインを初めてプロデュースしたもの。空間を構成する素材はアメリカやドイツ、イタリアなど世界中から調達し、石ひとつに至るまでこだわり抜いたものを使っており、広報宣伝部マネージャーの藤原さんは「食材にこだわる企業として、同社の素材へのこだわりに共鳴して起用した」と話す。この空間で、こだわりのある比内地鶏や、世界のフォアグラを使った最上級のチャコールグリルが楽しめる。
「今井屋」は「今井屋本店」の屋号で展開する高級焼鳥屋だが、「IMAIYA」では、おしゃれな空間で、普段使いの店づくりを目指す。「コンツェ恵比寿」出店は、他に出店するテナントの客単価の高さが大きかったとも話す。同店を手掛けるのはフードスコープ。本社のある恵比寿では、「今井屋本店」の他、「MAIMON」「今井屋花月」「米門茶寮」「今井屋茶寮」を展開しており、「IMAIYA」を加えて恵比寿での展開は6店舗となった。
フードスコープ4階の高級和牛焼肉「ginseng(ジンセン)」(TEL 03-5794-7474)は、焼肉業界のフロンティアの異名をもつ「高日峰(コウ・イルボン)」シェフがプロデュースする薬膳焼肉料理店。メインとなる肉は黒毛和牛など、その時期の旬の肉を全国の名産地から直接仕入れるなど、同社広報の洪さんは「時間、空間、食材、全てにおいて選び抜ぬいたファーストクラスの高級焼肉店を目指す」という。
店内はヨーロッパのホテルをイメージしたデザインを取り入れ、個室中心の座席構成でプライベートな空間提供に重点を置いているのが特徴。夜の客単価は10,000円を目標に据える。同店のオーナーは焼肉ベンチャーのトラジ。トラジの1号店は「コンツェ恵比寿」の正面裏手の位置にある。洪さんは「恵比寿という立地で原点に戻って、どれくらい新しいことができるかを試してみたい」と、新店に賭ける意欲を覗かせている。
2階「時の間(ときのま)」(TEL 03-5722-8600)は、和食ダイニングの店。和食でありながら、店内中央部分は真っ白に統一され、シースルーのボトルセラーや水のカーテンが店内を効果的に演出する一方、ネタケースのある鮮魚カウンターや掘りごたつ式の宴会用個室も用意されている。同店を経営するタスクの高橋社長は「このところ照明を落とし暗い店が多くなった。この辺です少し、明るい店でおいしい料理を食べるのもいいかなと思った」と、店内を白くした動機を明かす。
料理は、旬の鮮魚や大山ひな鶏の素揚げや揚げたての手作りさつま揚げ、自家製燻製などで、種類が豊富な焼酎や日本酒と一緒に楽しめる。旬の芋焼酎は30種類以上を揃え、常時2~3種の前割り芋焼酎も用意する。客単価は4,500円で、オープンは1日早い24日。
時の間3階の「恵比寿たらば屋」(TEL 03-5773-0388)は、甲羅が手掛けるかにダイニング。同社では全部で13業態を展開しているが、「たらば屋」は新宿に次ぐ2号店。店内は「厨房も店のひとつ」(関東本部部長の斉藤さん)というように、キッチンをセンターに配した空間構成で、店内の中央の「焼き台」で炙られる食材の香りが食欲をそそる。大きな水槽では、たらば蟹、ずわい蟹など、毎日北海道から空輸される活カニが店中央の出番を待っている。客席も全部で35席と余裕を持たせているのが特徴。客単価は6,000円から7,000円。斉藤さんは「素材を売る店として、本物志向の高い恵比寿のお客さんに喜んでもらいたい」と話す。こちらのオープンも24日。
甲羅グループ地下1階の「NOS bar&dining(ノス バー&ダイニング)」(TEL 03-5773-1727)は、表参道にある「NOS」の2号店。店内はダイニングゾーンとラウンジゾーン、スタンディングゾーンに分かれている。中でも注目はスタンディングゾーン。1号店ではウェイティングトして利用されていたが高い人気を集めていたことから、2号店では思い切って本格化させ、「現代版」立ち呑み空間を生み出した。もちろんこの空間だけの利用も可能で、おしゃれな空間の中でアルコール片手にやきとりややきとんなどのフィンガーフードが楽しめる。同店を手掛けるミュープランニングアンドオペレーターズの杉本さんは「賑わいやコミュニケーションの場として使っていきたい」と話す。
また、「La Fabrique」など、多数の飲食店を展開する同社のネットワークを使って、同店ではクリエイターとのコラボレーションも具現化している。初回アーティストとして、店内にCDジャケットデザインなどを数多く手掛けるFJD(fujitajirodesign)制作のグラフィックを飾るほか、CM向けのCG映像やデジタル特殊効果で知られる松木靖明氏制作の映像作品を店内で流す。「飲食業界の中でも恵比寿は最も注目される場所のひとつ。恵比寿はいい店があるが、大箱がなかった」(杉本さん)と、恵比寿では珍しい大箱系コンプレックスのポテンシャルに期待を寄せている。
ミュープランニングアンドオペレーターズ5階の「Silver.g(シルバージー)」(TEL 03-3714-0107)は、「癒しのラグジュアリー空間」をテーマに銀座(yellow.g)、青山(Brown.g)と展開している「g」シリーズの3号店。料理は、和・洋・中の枠にとらわれない無国籍メニューが楽しめる。同店店内は発光ダイオードで演出され、個室と通路の壁にはウォーターカーテンの滴が流れ落ちるなど、心地よい「癒し系」空間を実現している。客席は112席で、客単価は5,000円。ダイニングアートシステムズが経営を手掛ける。
ダイニングアートシステムズメガ・ターミナル「渋谷」の隣駅でありながら、白金、広尾、代官山に囲まれ、一方でオフィス需要の高まりからビジネスマンやOLが集積する恵比寿は今、飲食業界でも最も注目されるエリア。ここ数年、デフレ対応で押し下げられた客単価を再び引き上げたいというのが業界の本音を背景に、「コンツェ恵比寿」は、まさにその試金石となる物件でもある。「大箱」の登場は、恵比寿のグルメシーンにどのような衝撃を与えるのだろうか。