東急東横線旧渋谷駅ホーム・線路跡地などで建設が進む「渋谷駅南街区プロジェクト」(渋谷区渋谷3)の施設名称が「渋谷ストリーム(SHIBUYA STREM)」に決まった。東急電鉄が10月24日、明らかにした。
東急電鉄と東横線隣接街区の権利者が主体となり進める同プロジェクトは、東急東横線と東京メトロ副都心線との相互直通運転により地下化した東横線旧渋谷駅ホームと線路跡地、周辺敷地を活用したもの。2014年8月から既存建物の解体など準備工事を進め、昨年8月本格着工した。
施設の前を流れる渋谷川などの「ゆるやかなストリートの流れ」を表現するとともに、「次代の流れを生み出し続けたい」という思いを込め、「流れ」「絶え間なく続く」を意味する「STREAM」と命名。「クリエーティブワーカーの聖地」を目指し、多様なワークスタイルに対応するビジネス環境を作ること、歩行者ネットワークを整備して新たな人の流れを作ること、渋谷川の再生を中心に「魅力的な」都市環境を作ることをテーマに掲げる。
敷地面積は約7100平方メートル。建築するのは地上35階・地下4階、高さ約180メートルの高層ビルで、延べ床面積は約11万6700平方メートル。ファサードには縦長のホワイトパネルをランダムに配置し、屋上と低層部の壁面を緑化。館内のエスカレーターやエレベーターなどの導線には黄色のカラーリングを施すという。渋谷川沿いには2つの広場を造り、広場から2階にかけて施設の象徴的な空間となる大階段を設置する。
1階~3階は飲食を中心とした約30店舗から成る商業施設。店舗面積約900坪。流行に左右されない「渋谷流=シブヤ・カスタム」が集まる商業空間を目指す。4階は、クリエーター向けのコワーキングスペースやスモールオフィス、自転車通勤をサポートする「サイクルカフェ」、人工芝を敷く屋外の多目的広場を配置。4階とオフィスエントランスロビーとなる5階は吹き抜け空間でつなぎ、5階の天井には東横線旧渋谷駅の「かまぼこ屋根」から着想を得たルーフを架ける。
6階は約330坪のカンファレンスフロアで、大中小さまざまな広さの会議室12室を用意。9階~13階はインバウンド需要も見据えた約180室のシティーホテルで、東急ホテルズが運営を予定する。ロビーラウンジは4階に設置。14階~35階はメインコンテンツとなる約1万4000坪(1フロア約640坪)のオフィスエリア。ITやアパレル、映像制作などクリエーティブコンテンツ産業の企業を中心に誘致する予定。
隣接して、ホールを中心とする7階建ての建物も造る。4階をエントランスロビーに、5階・6階にホワイエを設置。6階・7階部分がホールとなり、平日は新商品発表会やファッションショーなどのビジネス用途で使い、週末はコンサートを中心としたライブプログラムを展開予定。スタンディングで約700人を収容する。
2階には貫通通路を設置。国道246号線をまたぐ旧東横線の高架線路を生かした歩行者デッキで、JR山手線や同線に並列するかたちで移設する埼京線ホームから施設までをつなぐほか、エスカレーターやエレベーターなどで多層を上下で結ぶ「立体広場空間(アーバンコア)」を地下2階~地上2階にわたって整備し、東急東横線や東京メトロ副都心線の現16b出入り口と接続する。これにより、現在は国道246号線や明治通りなどにより、渋谷駅のにぎわいから分断されている渋谷3丁目エリアと渋谷駅のアクセス向上も目指す。加えて、3階部分でJR南改札(仮、将来予定)と東西自由通路(将来予定)をつなぐ予定。
併せて、官民連携で隣接する二級河川渋谷川の再生にも着手。清流復活水を活用した「壁泉」と呼ぶ水景施設を整備することで水の流れを作り、桜などを植栽する東横線の線路跡約600メートルにわたる遊歩道を整備することで代官山・恵比寿方面への歩行者ネットワークを形成する。
2018年夏に完工し、同年秋に開業する予定。