山種美術館(渋谷区広尾3、TEL 03-5777-8600)で1月3日、特別展「Kawaii日本美術-若冲・栖鳳・松園から熊谷守一まで-」が始まった。
今や海外でも通じる日本語として広がり、注目される文化となっている言葉「かわいい(kawaii)」。同展では、外見のかわいさだけでなく、シンプルな線、カラフルな色彩、ユーモラスな表現に潜む「kawaii」を日本美術を通してひも解くという。
会場は、唐子や金太郎といった子どもを主題にした作品などが並ぶ「描かれた子ども-人物の中のKawaii」、動物絵画を集めた「生きもの大集合-動物の中のKawaii」、小さなものやかれんなものなどを描いた作品に注目した「小さい・ほのぼの・ユーモラス-Kawaiiってなに?」で構成。
期間を通じて95点強の作品を紹介。並ぶのは、1949(昭和24)年にインドから贈られた象「インディラ」のエピソードに触発されて描いた「百子図」(川端龍子、1949年)、動物画を得意とした竹内栖鳳(せいほう)の「鴨雛」(1937年ごろ)、少女が折り紙で遊ぶ様子を描いた「折鶴」(上村松園、1940年ごろ)、谷内六郎が「にっぽんのわらべうた」(学習研究社)に描いた挿絵原画4点など。
江戸時代の画家・伊藤若冲の作品は、鶴2羽と亀1匹を描いた「鶴亀図」(1795年)などで、後期には、全体を升の形に区切り升ごとに彩色する」升目画「樹花鳥獣図屏風」(18世紀、静岡県立美術館蔵)も登場する。(一部展示替えあり、前期=2月2日まで、後期=同4日から)。
ミュージアムショップでは同展オリジナルグッズを販売。図録(1,000円)や、歌川広重(初代)の「東海道五拾三次」に描かれている人たちをクローズアップした手拭い(1,200円)、伊藤若冲の「樹花鳥獣図屏風」をモチーフにしたはがき(100円)、「伏見人形図」をイメージして京都の窯元「六兵衛窯」が作った布袋置物(3,600円または7,600円)など。
ロビーの「Cafe椿」では、展示作品にちなんだ和菓子を提供。ホタルブクロの花をかたどった「ほたる火」=熊谷守一「ほたるぶくろ」、子どもが来ている晴れ着を練り切りとこし餡(あん)で表現した「春着」=小茂田青樹「愛児座像」など5種。価格は、茶とのセットで1,000円または1,100円。
初日の3日には開館前から列ができたほか、1日で1000人近くが来館。日頃に比べ、若年層や外国人も多く訪れているという。
開館時間は10時~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館(1月13日は開館、翌14日が休館)。入館料は、一般=1,200円、大学・高校生=900円、中学生以下無料ほか。3月2日まで。