渋谷駅周辺で5月28日、帰宅困難者対策訓練が行われた。主催は、私鉄各社や商業施設、商店会などで構成する渋谷駅周辺帰宅困難者対策協議会と渋谷区。
東京都防災会議地震部会による昨年4月の発表によると、首都部直下地震による渋谷駅周辺4キロの滞留者数は18万894人と想定されている。協議会と区は、商業施設や大学など被災時の帰宅困難者支援(受け入れ)施設を確保(今年4月末現在28施設)するなど、対策に取り組んでいる。
大規模な訓練は3年半ぶりとなる今回。訓練想定は、9時30分に東京都湾北部を震源としたマグニチュード7.3(震源の深さ約22キロ)、都内の広い範囲で震度6強の地震が発生。鉄道などの公共交通機関が停止し、渋谷駅周辺に約4万人の帰宅困難者が生じたというもの。
渋谷ヒカリエ(渋谷区渋谷2)9階ホワイエには協議会による現地本部を設置。同所では協議会委員の各事業所などから施設の被害情報や交通情報、帰宅困難者の状況などをメールなどで情報収集し、渋谷区対策本部と共有、協議会員の各事務所などへメールで配信する。併せてツイッター(@kitakushibuya)で帰宅困難者へ情報を提供。
同階8階の渋谷区防災センターには渋谷区災害対策本部を置き、協議会現地本部からの情報収集・共有をするほか、鉄道状況・道路状況・地域の被災状況などの情報を収集。情報は防災情報システムなどで関係機関と共有するとともに、防災メール(要事前登録)、緊急速報メール(エリアメール)、ツイッター(@city_shibuya)、大型ビジョンなどで知らせる。
訓練には協議会の参加企業・団体、区内の大使館、区内の専門大学などから約900人が参加。JR・副都心線・井の頭線・銀座線の各駅構内・車内や、渋谷パルコ・SHIBUYA109などの商業施設、文化村通り・ハチ公前広場といった路上で発災した場合を想定。それぞれで一時待機、協議会からの情報が入り次第、渋谷ヒカリエや青山学院大学などの帰宅困難者支援施設に移動した。ツイッターや緊急速報メールを配信したほか、スクランブル交差点の大型ビジョンでは鉄道の状況などを表示、ハチ公広場横には警視庁のサインカーも出動するなど情報発信を行った。
訓練終了後の講評では、八方隆邦協議会座長は「実際に動いて課題を探し、深めていくことで準備に厚みが増してくるものだと思う。街を支える全員が安全・安心のために協力していくことが大事。基本的な手順を確認することはもとより、いざとなった際もこういった訓練を行うことにより、困難を乗り越えていくような関係を築いていく糧になると思う。渋谷の街がさらに安心・安全な街と認めていただけるよう、取り組みを深めていく」とし、「今までよりさらに防災に関心を持ち、渋谷エリアの防災力が強化されれば」とあいさつ。
桑原敏武渋谷区長は「安心・安全の街であるために、また街が発展していくためには災害対策は不可欠。防災センターは協議会の情報などを基に対応を考えて行かなくてはいけない。そういった意味では情報の受発信が大切だと考えている」と話した。