建て替えに向けた基本構想デザイン案を公募していた「国立競技場」(正式名称=国立霞ヶ丘競技場・陸上競技場)の一次審査が終わり、二次(最終)審査の対象となる11点が決まった。
2020年のオリンピック・パラリンピック招致に立候補している東京都。国立競技場をメーンスタジアムに開・閉会式、陸上競技、サッカー、ラグビーの会場として機能することを計画しているが、老朽化・収容人数などの問題から建て替えを決定。今年7月から一級建築士事務所などを対象に、デザイン案を国際公募していた。新国立競技場の敷地面積は約11万3000平方メートル。2019年に開催が決定しているラグビー・ワールドカップのメーン会場にもなる予定。
10月16日に1次審査を行い、応募作品46点の中から11点を選定。2次審査に進んだのは、ロンドン・オリンピックスタジアムなどを手掛けたイギリスのポピュラス(ロッド・シアードさん)、「建築界のノーベル賞」といわれるプリツカー賞を女性で初めて受賞したことでも知られるザハ・ハディドさん率いるザハ・ハディド アーキテクスほか。国内からは、Dior表参道(渋谷区神宮前5)、仏ルーブル美術館分館(今年12月完成予定)などを手掛けるSANAA(妹島和世さん、西沢立衛さん)+東京スカイツリー(墨田区)などを手掛けた日建設計(千代田区)や、TOD’S表参道ビル(神宮前5)などを手掛けている伊東豊雄建築設計事務所(渋谷1)など4組が残った。
審査は、建築家・安藤忠雄さんを委員長に、青山学院大学教授の鈴木博之さん、日本サッカー協会名誉会長の小倉純二さん、作曲家の都倉俊一さん、英建築家のリチャード・ロジャースさんらで構成する委員会が行った。
「意欲ある多くの応募があった」と振り返る安藤さん。周辺の交通計画や動線計画、文化的なプロモーションを行うための可動式屋根・可変的な観客席、環境システムなどを挙げ「新国立競技場は、いくつもの困難な課題に応えなければならない」とし、「審査委員会でさまざまな視点から検討を行い、困難さを超えて新しい時代の幕開けを告げる、ビジョンとメッセージを発信する11案を選んだ。地球の時代の、ひとつの見本となる建築が生まれることを期待する」とコメントしている。
今後、11月7日に2次審査を行い、基本構想デザイン案に採用する最優秀賞(賞金2,000万円)1点、優秀賞1点、入選1点を選出。同月中旬に発表、下旬に表彰式を行う予定。現競技場は2014年7月~2015年10月に解体し、新しい競技場の建設工事は同年10月~2019年3月を予定。総工事費は解体費などを除いて1,300億円程度を見込む。
最終審査に残ったデザイン案は、新国立競技場特設サイトで公開している。