渋谷「Bunkamuraザ・ミュージアム」(渋谷区道玄坂2)で3月31日、「レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想」展が始まった。
「モナ・リザ」や「最後の晩餐」などの名画を残したレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)の生誕560年となる今年。同展では「美の系譜」に焦点を当て、ダ・ヴィンチの作品をはじめ、弟子との共作、弟子や「レオナルド派」と呼ばれる画家たちの作品、資料を通じて「ダ・ヴィンチが創造した美の理想」に迫る。
同展では現存する物は十数点しかないと言われているダ・ヴィンチの絵画の中から、「モナ・リザ」と同時期に描かれたとされる円熟期の「ほつれ髪の女」(1506-1508ごろ、パルマ国立美術館蔵)や、若き日の作品「衣紋の習作」のうち2点などを初公開。
ダ・ヴィンチの1503年の未完成作とされる説があり「もうひとつの『モナ・リザ』ではないか」ともいわれている「アイルワースのモナ・リザ」(16世紀、個人蔵)など、「モナ・リザ」作品を集積したコーナーには併せて、1517年に晩年のダ・ヴィンチに会ったアントニオ・デ・ベアティスの著書「旅行記」(ナポリ国立図書館蔵)などを資料として紹介。「(モナ・リザの)秘密をたどっていただけるのでは」(広報担当の橋爪優子さん)
そのほか、ダ・ヴィンチの代表作の一つ「岩窟の聖母」(1483-1486ごろ、ルーヴル美術館蔵)を原型とし、同展名誉監修者カルロ・ペドレッティさんが「ダ・ヴィンチと弟子による共同作品」としている「岩窟の聖母」(1495-1497年ごろ、個人蔵)、「カーネーションの聖母」(1506年ごろ、ラファエロとその工房、帰属)など、ダ・ヴィンチの弟子サライや「レオナルド派」のジャンピエトリーノ、ダ・ヴィンチと同時期に活躍したラファエロ工房などの作品も紹介。全体で約80点の作品、資料を展示。約9割が国内初公開となる。
開催直後の週末、「出だしはかなり好調」で、普段の展覧会よりも「男性が多い印象」だという。「作品を目の当たりにすることで、ダ・ヴィンチ、ルネサンスの芸術を体感いただけるのでは」と橋爪さん。
開館時間は10時~19時(金曜・土曜は21時まで)。入館料は、一般=1,500円、大学・高校生=1,000円、中学・小学生=700円ほか。6月10日まで。4月23日のみ休館。今月21日からは同館6階「ル・シネマ」などで、昨年ロンドンで開催された展覧会「Painter at the Court of Milan」を映画化した「レオナルド・ダ・ヴィンチ展 inシアター」も公開する。