東北地方太平洋沖地震発生から3日がたち、私鉄各線の運行変更や商業施設の臨時休業・時短営業などの影響が続く渋谷では、いつもにぎわいをみせるハチ公前スクランブル交差点の様子も一変、シャッターを閉める専門店も多く、「静けさ」が街を包んでいる。
「信号が青になりました」――大型ビジョンや近隣の店舗から響く音、人混みから漏れる雑音などが重なり、通常ははっきりと聞こえない青信号の音声が流れると、まばらな人たちが整然と交差点を渡っていく。昼夜問わず多くの人が押し寄せ、外国人観光客らの「観光スポット」にもなっている渋谷スクランブル交差点から活気が消えた。
通常は若者らでにぎわうセンター街周辺も、一部の観光客を除き客足はまばら。地震の影響で営業休止を決めた「SHIBUYA109」前も静まりかえり、足を止める若者の姿もない状態。「ビックカメラ」「ヤマダ電機LABI渋谷店」など家電量販店店頭には乾電池や懐中電灯などの「売り切れ」看板が掲出され、量販店「ドン・キホーテ渋谷店」は日用品などを買い求める客で混み合っている。
普段とは違う街の様子を見て、待ち合わせのためハチ公前交差点にいた大学生のまなさん、きよみさん(共に20歳)は「モデルの子がブログに交差点ビジョンの消灯について書いていたが、実際見ると本当に静か」(きよみさん)、「普段は多い居酒屋などの勧誘も全くない」(まなさん)と驚いた様子をみせる。被災への支援については「知り合いの学生だけで200万円集めたという話も聞いた。こういう時に助け合いの力を感じる。募金が早く食糧や毛布になって被災地の皆さんが助かれば」と話した。
交通機関では私鉄各線の運行本数削減により駅ホームなどは一時的に混雑。都バスなどのバス停では日中は大きな混雑は見られなかったが、今後帰宅ラッシュに向け家路への「足」を失う乗降客が押し寄せるとみられ、混乱が予想される。