渋谷・スペイン坂上のミニシアター「シネマライズ」(渋谷区宇田川町、TEL 03-3464-0051)は今春から、パルコ(本部=神泉町)エンタテインメント事業部に上映作品の番組編成を業務委託する。
1986(昭和61)年にオープンした同館は、ミニシアターの先駆け的存在として、「ムトゥ 踊るマハラジャ」(1998年、K・S・ラヴィクマール監督)、「アメリ」(2001年、ジャン=ピエール・ジュネ監督)などのヒット作を送り出してきた。開館当初、地下1階(220席)と2階(303席)の2スクリーンを展開し、2004年にデジタル上映劇場「ライズX(エックス)」(40席)を地下2階にオープン。昨年6月には、地下1階のスクリーンと「ライズエックス」での上映を終了し、現在は1スクリーンのみで営業している。
配給会社の倒産が相次いでいることから作品の供給が減り「作品選択の幅が狭まってきている」ことや、2次使用がメジャーになり収益が減少していることなどを受け、渋谷パルコ・パート3の「シネクイント」の運営を手掛ける同部に番組編成を委託し、一本化するに至った。毛色の異なる作品を扱う互いの情報をすり合わせることで、「作品の選択肢も増え、間口も広がる」とシネマライズを運営する泰和企業の頼光裕社長。今後、パルコと連動した企画展などのプロモーションも展開していく。
「後ろ向きなことではないので、これまでやってきたことを一切やめることはない。当館が見つけてきた映画、上映したいと思った映画は上映する。当館『らしさ』があるのなら、それを残しつつ時代に合わせてしなやかに間口を広げていきたい」。広域渋谷圏のミニシアターが相次いで閉館している渋谷エリアを「盛り上げていきたい」とも。
パルコによる番組は4月より徐々に導入し、5月のゴールデンウイーク以降ごろには移行を終える予定。