東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内、TEL 03-3280-0099)地下1階展示室で現在、「立体視」がテーマの企画展「3Dヴィジョンズ 新たな表現を求めて」が開催されている。
映像部門の基本コンセプトに「イマジネーションの表現」「立体視」「アニメーション」など5つを掲げ、19世紀末に映画が開発されるまでの映像資料を収集している同館では、「映像をめぐる冒険」シリーズとして毎年、5つの中から1つを取り上げ、企画展示を開催。
3回目となる今回は、3D映画などで利用される視覚原理「立体視」をテーマに、19世紀中ごろ~20世紀初頭までの立体写真や立体視装置の変遷、アーティストの作品など約100点を展示する。
会場は3部構成で展開。第1章「浮遊する視覚」では、1951年ロンドン万博時にロンドンに建設された水晶宮「クリスタル・パレス」の立体写真やCGなど「現代のテクノロジー」と「初期立体視」を組み合わせた、アーティスト津島岳央さんのインスタレーション作品「Allegory of Media Art」などを展示。
20世紀中ごろまでの装置を展示し「立体視の仕組みと変遷」を紹介する第2章「メカニズムの焦点」では、左右に赤と青のフィルターの付いた眼鏡で見る「アナグリフ」の仕組みを利用し、来場者自身の影を立体に見せる映像作家・五島一浩さんの作品「STERE SHADOW」を展示する。
第3章「新たな表現を求めて」は、メディアアーティスト藤幡正樹さんの作品「Field-works」シリーズを展示。「世界各地で人々の活動とその場所を同時に記録すること」をテーマにした同作は、GPSとビデオを使い、藤幡さんが各地で行ったフィールドワークを記録。それらをコンピューター上に再構築し、新しいアーカイブを作り出してきた。今回展示する「故郷とは?ジュネーヴにて/Landing Home in Geneva」は、ジュネーブに移住して通訳として働く人たちを取材したもの。
「立体視を利用することで、自分が見たことのない場所や現実には存在しない世界を立体的に体験できでるところが面白いが、今後3D映像が普及していった場合、立体的に見えること自体よりも、『何を』立体的に見るかが問題になってくる」と同館学芸員の山峰潤也さん。
約170年の歴史を持つ立体視の歴史を振り返り、立体視の面白さと仕組みを紹介する同展。「テクノロジーがもたらす視覚的な面白さを超えて、3Dを使った表現のこれからについて考えながら見ていただければ」とも。
開館時間は10時~18時(木曜・金曜は20時まで)。月曜休館(月曜が祝日の場合は翌火曜)。入場料は、一般=500円、学生=400円、中高生・65歳以上=250円。2月13日まで。