明治神宮で10月3日、人形納めの祭り「第22回 明治神宮人形感謝祭」が開かれた。主催は人形に感謝する会(台東区)。
同祭は、古くなったり壊れたりした人形を捨てられない人に代わり、「人形の魂をおはらいし、感謝の気持ちを込めて納める(お別れする)」ための祭りとして1989年から開催。毎年、首都圏を中心に各地から訪れた参拝客が、日本人形やひな人形、西洋人形、ぬいぐるみなどを納め、外国人観光客の姿も「4~5年前くらいから目立ってきた」という。
当日、持参された人形の「魂」は「ひとがた(人形をかたどった紙)」に移して奉納。人形は本殿前回廊の「奉鎮台」に並べられ、神職がおはらいを行った。本殿では祭典を行い、みこが神楽「浦安の舞」を奉奏。同会副会長の兼高かおるさんは「(人形の)命を『永遠に』と願う祭り。ものを大切にするということは人を大切にすること、思いやりにつながる。次世代を担う子どもたちに向け、ますます盛んになるように願う」と祭りの発展を願い、あいさつした。
江戸川区在住の永澤秋雄さん・博美さん夫婦は「実家にあった古い日本人形」を持参。「両親が亡くなったこともあり、自分たちが結婚するときに両親にプレゼントした人形を持参した。人形には魂が宿ると言われているので捨てられない」と話した。以前、明治神宮でひな人形を供養してもらったことがあるという千葉県在住の主婦は「愛着があるものは供養してもらいたい」と、5~6年使っていた動物のぬいぐるみを持参したという。
社務所内では「第16回 思い出人形展」を同時開催。これまでの「人形感謝祭」で納められた人形の中から、吉徳(台東区)史料室室長の小林すみ江さんや日本人形玩具学会の人たちが鑑定し「歴史的・文化的に貴重」な人形であるとし、保管している人形を展示する。ディズニーやジブリ映画などのキャラクター人形や、韓国やインドネシア、スペイン、ブルガリアなど各国の民族人形、ひな人形など約1,000点が一堂に並ぶ。展示品の中には、人間国宝・鹿児島寿蔵作童子の「紙塑(しそ)人形」や平田郷陽作の市松人形なども。
この日は約7,000人が訪れ、約3万9,000体の人形が納められた。