渋谷・松濤美術館、30周年で回顧展-過去の企画展全ポスターを一堂に

石造りの外観が印象的な松濤美術館

石造りの外観が印象的な松濤美術館

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 来年で開館30周年を迎える松濤美術館(渋谷区松濤2、TEL 03-3465-9421)では7月13日、展覧会ポスターや図録などで同館の歩みを振り返る企画展「松濤美術館 30年の記録」が始まった。

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 渋谷区が区民へ向けた「文化と憩いの場」として発案し、それまで「区の資材置場だった」(松濤美術館教育普及担当の鈴木里和さん)場所に、1981(昭和56)年10月に開館。区民らを対象にした公募展や区内小中学生の絵画展に加え、写真・絵画・工芸など幅広い時代の作家を取り上げる企画展を開いてきた。

 戦後の著名建築家・白井晟一(せいいち)さんが設計を手がけた建物は、花崗岩を積み上げた外観に、施設中央の吹き抜けと噴水、回廊など特徴的な造りで、建築学科の学生が見物に訪れる姿も見られる。「白井さんは設計にあたって、建物自体を美術館の『作品』の一つととらえていたと聞いている」(鈴木さん)。

 企画展では、開館初年度に近年爆発的ブームとなった近世日本画家・伊藤若沖を取り上げたほか、戦前を代表する写真家・野島康三、戦後活躍した米画家ジャクソン・ポロック、大正期の洋画家・村山槐多(かいた)など、写真・絵画を中心に幅広い年代・作風の作家を独自のセレクトで紹介してきた。そのほか、中国・台湾などのアジア美術にも度々触れ、「2007年に景徳鎮(けいとくちん)の器を扱う巡回展を開催したときは開館以来の来場者だった」とも。

 同館地下1階では現在、これまでに開催した143回の企画展のポスターを年代別に展示。公募展のポスターや図録なども並べて、同館の変遷を振り返る。図録は割引料金で販売する。

 2階では、トルコ伝統工芸「エブル」を使った作品展「エキレキリ エブル アート展」を同時開催。エブルは水面に描いた模様や花などを紙や布に写し取る技法で、「マーブリング」とも呼ばれる。会場では、日本在住のトルコ人エブル作家で、エキレキリ5人兄弟の作品約70点を紹介している。

 「一時の流行や風潮に流されないで、独自の企画を進めていくのが当館の特徴。小規模ながら、今後もさまざまな作家を心地よい環境で紹介し、何度も気軽に足を運んでもらえるような美術館を続けていきたい」と鈴木さん。

 開館時間は10時~18時(入館は17時30分まで)。7月20日・26日は休館。入場無料。8月1日まで。

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