岡本太郎記念館で「パブリックアート」テーマの企画展-幻となった「動物」原型も

「動物」の原型。地震でひび割れが生じ撤去された幻の作品で、実物は高さ約4メートル、長さ約6メートルのコンクリート彫刻

「動物」の原型。地震でひび割れが生じ撤去された幻の作品で、実物は高さ約4メートル、長さ約6メートルのコンクリート彫刻

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 岡本太郎記念館(港区南青山6、TEL 03-3406-0801)で6月30日、岡本太郎の「パブリックアート」の原画・原型などをメーンに展示する企画展「街のなかの太郎」が始まった。

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 「芸術は大衆のもの」という思想の下、全国各地の街に壁画やモニュメントなどパブリックアートの制作に情熱を傾けた岡本太郎。主な代表作は、大阪万博のモニュメントとして知られる「太陽の塔」(1970年)、岩手県藤沢町の縄文野焼祭・縄文サミットのシンボルとして制作されたブロンズ作品「縄文人」(1982年)など、85年の生涯の中で残した作品数は現存しないものも含めて約140点。

 そのうち渋谷かいわいでは、渋谷マークシティ2階連絡通路に設置された巨大壁画「明日の神話」(1969年)をはじめ、国立代々木競技場内に展示されている陶板レリーフ「眼、手、足、走る、競う、プロフィル」(1964年)や、こどもの城の正面に設置されている巨大オブジェ「こどもの樹」(1985年)など計9作品を数える。

 同展ではパブリックアートを構想したデッサンや原画、原型、映像紹介を含めて約60作品を展示。中でも、旧・東京都庁舎と共に取り壊されてしまった陶板レリーフ「日の壁」(1957年)の記録用として残された原寸大のレプリカや、群発地震でひび割れが生じ解体撤去された長野県の温泉施設内にあったコンクリート彫刻「動物」(1959年)の原型。さらに「明日の神話」とともにメキシコのホテルに展示が予定されていたものの、予算の都合から制作を断念した「豊穣の神話」の下絵など、すでに現存しないものや未完となった作品の痕跡をたどる貴重な原画・原型を公開。ウイスキーの景品グラスやチョコレート缶など、芸術と大衆を近づけようと岡本太郎が取り組んだ商業デザインも紹介している。

 「今回の企画展は、太郎さんの頭の中でイメージしたものを見る機会としてはとても面白いと思う。ここで原画・原型を見た後、街中にある実際のパブリックアートに触れてみてもらえれば、その迫力やイメージの変化を楽しめるのでは」と同記念館の学芸員・田原睦さん。

 会場では7月14日、8月11日、9月8日、10月6日、学芸員によるギャラリートーク(14時~)を予定する。開館時間は10時~18時(入館は17時30まで)。火曜は休館(祝日の場合は開館)。入館料は、一般=600円、小学生=300円。10月31日まで。

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