恵比寿に障害者と健常者がともに暮らす共同住宅-福祉支援NPOが開く

障害者と健常者の共同住宅「ぱれっとの家 いこっと」の外観

障害者と健常者の共同住宅「ぱれっとの家 いこっと」の外観

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 福祉支援NPO法人ぱれっと(渋谷区東3、TEL 03-5776-7302)は4月3日、障害者と健常者が一緒に生活する共同住宅「ぱれっとの家 いこっと」(同)を開設した。

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 現在、知的障害者の中で親や施設から自立して生活を送っている人は「ごく少数」だという。しかし、「障害が軽度で自立できる人もいる」と考える同NPOがサポートし「知的障害者が自立して生活する機会を増やしていきたい」と、「ぱれっとの新しい家づくり計画」がスタート。同計画は、同NPOを設立当初から「支援している」東京木工所(恵比寿南1)との協働事業で、同社が土地提供と建物の建設を行い、同NPOが建物をサブリースで借り受け運営する。

 同NPO事務局長の菅原睦子さんは「1人で暮らすことができる知的障害のある人たちが、地域の人たちと生活し、かかわりながら生活を送る場を作りたかった」とし、「『障害者だから』という固定観念を崩し、いかに当たり前の家にするかということを考え、障害者本人やその親、入居希望者らと話し合いながら作り上げたていった」と話す。

 延べ床面積は約196平方メートル。木造3階建で、居室8部屋を用意。1階には、約15畳の共用リビング・ダイニング、キッチンなどを設けたほか居室1部屋を用意。そのほか居室は2階=4室、3階=3室で、各居室の面積は約6畳(収納スペースを除く)。浴室やシャワー、手洗い、洗面、洗濯機は共用で、事前の「家づくりワークショップ」で「若い人はシャワーのみの人が多い」という話しが出たことから、浴室の用意は1階のみで、2階・3階はシャワーのみ。ほかにもIHヒーターの使用や太陽光を取り付けるなど「安全・エコを重視」した。

 「(家に)行こうっと」「憩いの場」などから「いこっと」と命名。入居条件は、「就労していること」「日常生活を自立して行える人(障害が軽度の人)」。家賃は6万9,000円~7万3,000円で、敷金2カ月、礼金なし、水道光熱費は入居者で均等割。契約は2年ごとに更新する。現在、健常者=4人、障害者=2人の計6人の入居が決まっている。

 1983(昭和58)年に設立した「ぱれっと」は、「就労・暮らし・余暇などの生活場面において障害のある人たちが直面する問題の解決を通して、すべての人たちが当たり前に暮らせる社会の実現に寄与すること」を目的に活動。現在、クッキーなどの製造・販売を通して社会参加と自立を目ざす福祉作業所「おかし屋ぱれっと」(同)、知的障害者が自立した生活を目指し地域の中で暮らすグループホーム「えびす・ぱれっとホーム」(同)なども展開している。

 「現段階でまだ2部屋空いているので、障害のある方に入居いただければ」と菅原さん。「『いこっと』が完成したことで、全国の団体などから『こういう家をつくろうとしている』『こういう家を求めていた』という声をいただくので、ニーズがあるということを実感した。各地にも、地域に出て生活できる人がいっぱいいると思うので、『いこっと』のような家が全国に広がっていけば」とも。

 入居開始は今月10日から。

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