渋谷駅コンコース2階のワッフル店「ミスターワッフル」が、渋谷駅再開発計画に伴う契約満了を迎える11月30日、13年の営業に幕を閉じる。
同店は1997年、渋谷駅西口コンコース2階に東急百貨店東横店の一部としてオープンしたフードブース「GREEN FARM(グリーンファーム)」内に併設。瓶詰めの牛乳やサンドイッチを提供するグリーンファームの隣で、京王井の頭線~JR・東急東横線の乗り換え客らにワッフル生地の焼ける甘い香りを届けてきた。
同店を運営するディーポット(円山町)社長の平井裕晃さんは1970年兵庫県出身。大学卒業後の一時期は企業に務めたが、起業を目指して退社。1996年にベルギーへ渡り、3カ月で500個のワッフルを食べるなどの経験を経て、翌年ベルギーワッフルの専門店をグリーンファーム内に開設した。同年の渋谷では、駅東口に「マネケン」のワッフル店がオープンするなど、東京が「ワッフルブーム」に沸いた年で、ミスターワッフル出店などと合わせて渋谷は「ワッフル激戦地」と呼ばれた。「当時は一気に店も広がったがバブルのようなもので、その後どうやって残っていくかが大切」と平井さん。「ミスターワッフルでは、お客さんに待ってもらっても『焼きたて』を提供することにこだわった」という。
現在、多い日には1日に2,000個を売り上げ営業時間内に完売閉店となることも。コンコースへの出店については、「渋谷でもセンター街などの路面では若い人たちが歩きながら食べるための利用が多いが、コンコースは老若男女が同居するスポット。『お土産用』などに1人の方がたくさん買うことも多い」と分析。「家までの帰り道に気軽に立ち寄れるスイーツでありたい」と140円~160円の価格帯に設定している。
商品に添えたアンケートでは、「渋谷と言えばミスターワッフル」「よく孫に『今日はワッフル買って帰るからね』と言って家を出る」などの意見があったという。「ベルギー人の方が立ち寄り、『おいしい』と言ってもらったときはうれしかった」とも。
「現在、閉店後の移転先を探している」という平井さん。ネットでの販売は引き続き行う。ワッフル提供時間は12時~19時30分(完売の場合は繰り上げ)。