大統領や政治家など著名な人物を題材にしたポップな風刺画を描く気鋭アーティストMathias(マタイアス)さんの世界初の個展「All about democracy」が11月20日より、「DIESEL DENIMM GALLERY AOYAMA(ディーゼルデニムギャラリー青山)」(港区南青山6、TEL 03-6418-5323)で開催される。
1970年オランダ生まれのマタイアスさんは、幼少期に漫画やイラストを描き、成人後はテレビ局でのドキュメンタリー制作やコマーシャル、アニメーションなどでキャリアを積んだ。2006年にブログ上でイラストを発表したのをきっかけにオファーを受け、雑誌への作品掲載をスタート。これまでベルギーのテレビガイド誌「Focus-Knack」の表紙イラストのほか、オランダやベルギーでの伝統ある週刊新聞、週刊誌にイラストを寄稿する。独特な色彩やキッチュなタッチで、著名な人物を題材に毒のあるメッセージを伝える作風が特徴。
マタイアスさんの世界初個展となる同展は、「マタイアスの作風が、ユーモアやアイロニーのあるDIESELのブランドイメージとぴったりだったこと」(ディーゼルジャパン広報担当者)から実現。会場では、「貧困や環境汚染、不正のない平等な社会」を望むマタイアスさんが、「今日の社会状況や民主主義に対する不満や疑問」を盛り込んだメッセージ性の強い作品約70点を一堂に公開する。
金融のギャンブル化と言われたサブプライムローンの破たんと、オバマ大統領候補に勝負する「切り札」としてサラ・ペイリン前アラスカ州知事を副大統領候補に擁立した様子を、カジノ施設を舞台に揶揄(やゆ)した「American Express」(2009)のほか、オバマ大統領がデスクに腰かけてペンを取る様子を描いた「We serve the planet」(2009)では、ブッシュ元大統領から引き継いだ仕事の量や混乱ぶりを無造作に積み上がる資料の山で表現した。そのほか、鳩山幸総理大臣夫人がiPhone片手にシャトルの外を眺める様子を描いた作品など、作中には「旬」の人物が数多く登場する。
同展へ向けて、マタイアスさんは「今日の世界は腐敗そして堕落し、もはや機能していない。コミカルなタッチで政治情勢を語る時代はもうとっくに終わっているよ」とコメントを寄せている。
会場は同店2階。営業時間は11時~20時(2階は13時~)。入場無料。2010年1月31日まで。