アメリカン・コミックを受け継いだポップなタッチに和風の「乾いた笑い」を盛り込んだシュールな作風で知られる人気イラストレーター白根ゆたんぽさんの個展「YUROOM HISTORY(ユルームヒストリー)」が11月13日、代官山「ギャラリー スピーク フォー」(渋谷区猿楽町、TEL 03-5459-6385)で始まる。
1968(昭和43)年埼玉県生まれの白根さんは桑沢デザイン研究所を卒業後、フリーのイラストレーターに。90年代前半から、和風の「乾いた笑い」を鮮やかな色彩・ポップなタッチで表現し、パルコのフリーペーパー「GOMES」での連載「ナマぬル」(1992年~1996年)や、マイケル・ムーア著「アホでマヌケなアメリカ白人」(柏書房刊)の装画(2002年)、鈴木おさむさん連載のコラム「ブスの瞳に恋してる」(マガジンハウス刊)イラスト(2003年~)のほか、「RIP SLYME」らのCD・DVDジャケット、家電ブランド「amadana」の商品カタログイラストなどを手掛ける。グループ展にも積極的に参加し、音楽バンド「工作バンドOBANDOS」のメンバーとして「SUMMER SONIC 2009」にも出演。
白根さんの幅広い活躍を「東京カルチャーの転換点に、しばしば彼の絵が絡んできた」と評価する同ギャラリーでは、白根さんのデビューから現在までのキャンバス画を中心に立体も加えた約40作品を紹介する。
会場には雑誌「イラストレーション」主催の誌上コンペ「ザ・チョイス」での92年の入選作品、1995・1996年に年賀状用に描いた作品、CHARAのツアーパンフレットのためのイラスト(1998年)など「蔵出しの名品」を一堂に出品。作品価格は小さなもので15,000円程度で、「ほとんど一点ものにもかかわらず価格はかなり抑えた」と同ギャラリーディレクターの吉田広二さん。
内容については、「雑誌などで90年代から白根さんの絵に接してこられた方たちには懐かしい作品が多い」(吉田さん)としながら、「立体作品や『ザ・チョイス』入選作など、知らなかったテイストのものも発見してもらえるはず」とも。
同展は、スピーク フォーが企画する「時代を越えた良い作品や、過去に欲しかった作品ともう一度出会う機会を提供する」シリーズ「HISTORY」の第1回企画。吉田さんは「アーティストのアトリエに行くと、生の制作現場にあふれる作品のオーラに圧倒されることがある」といい、「アーティストのアトリエや実家の押し入れは宝の山。過去の作品でも、再度『今こそ世に問えたら』という作品を紹介していきたい。この問題意識に共感していただけるアーティストは少なくないはず」と意気込む。
営業時間は11時~20時(最終日は18時まで)。入場無料。木曜定休。今月25日まで。