劇作家・寺山修司さんの長編、実験映画などを集めた特集上映「寺山修司◎映像詩展2009」が4月25日、渋谷「ユーロスペース」(渋谷区円山町、TEL 03-3461-0211)で始まる。
今年は、アングラ劇団「天井桟敷」を率い、60~70年代にかけて小劇場ブームを巻き起こした寺山修司の没後27回忌。劇作家、演出家としての一面に加え、小説やエッセーなどの文芸作品を数多く残した寺山修司が生前発表した映像は、多くの作品同様、シュールで幻想的な「カルト」的世界観で知られる。
ユーロスペースでは、2週間にわたり実験映画や関連作品を含む24作を一挙上映。期間中はポスター展も同時開催し、「TERAYAMA WORLD 2009 IN SHIBUYA」と題し、寺山修司の魅力に迫る。上映は、長編に加え実験映画集や死後公開された関連作品など全10プログラムで構成。
「書を捨てよ、町へ出よう」(1971年)は、寺山初の長編。このほか長編は、同名の自歌集に基づいた自伝的作品「田園に死す」(1974年)をはじめ、遺作となった「さらば箱舟」(1984年)、東洋的感覚でヨーロッパの官能世界を描いた「上海異人娼館」(1981年)などを上映。
短編は、俳優・三上博史さんのデビュー作で代表作の一つ「草迷宮」(1979年)や、「消しゴムで消すことのできる映像」を試みた「消しゴム」(1977年)、3台の映写機で写し出した3分間の実験的作品「青少年のための映画入門」(1974年)、撮影から2年後に編集された処女作「檻囚」(1962年)などを上映する。
没後発表された作品では、30年来の知人だった詩人・谷川俊太郎さんと寺山修司の「往復書簡」を軸に映像表現の可能性に挑んだ「ビデオ・レター」(1983年)をはじめ、2005年に再出版された長篇小説「あゝ、荒野」に収められた写真家・森山大道さんの作品と短歌で構成する同名映画(2006年)などを公開。
期間中、人気歌手・一青窈さん(25日)、映画監督の天願大介さん(26日)、森山さんや歌手・渚ようこさん(29日)らを招き、トークイベントを開催する。
特集上映に伴い、渋谷「ポスターハリスギャラリー」(道玄坂2)では同25日~5月17日、天井桟敷の現存する全公演ポスターを一堂に公開するポスター展を開催。横尾忠則さん、宇野亜喜良さんら著名アーティストが手掛けた40点以上のポスターに加え、台本、チケット、パンフレットなどの関連資料、寺山修司の前著作物(生前)も併せて紹介する。入場無料。