プロの紙芝居師になりませんか?――漫画家のマネジメント事業などを手掛ける「漫画家学会」(渋谷区渋谷1、TEL 03-6419-1875)本社で4月28日、「紙芝居師養成オーディション」が開かれる。
目標1,000人、失業者にもチャンスを――昨年6月に設立された同社は、漫画家の発掘・マネジメントなどをはじめ、漫画のルーツのひとつでもある「紙芝居」に着目。同社の三木文夫社長がこの道約40年の紙芝居師「ヤッサン」こと安野侑志(ゆうし)さんに出会ったことをきっかけに、定年退職した団塊世代や不況下で職を失った若者らに雇用機会を与えようと、1,000人の紙芝居師を養成し需要先を開拓する「紙芝居事業」に乗り出した。
オーディションは、今年3月大阪での2度の開催に続く3回目。「大阪では年齢を問わず150人ほどの応募があり、3人を正社員として採用した。紙芝居になじみのある団塊世代などの年齢を予想していたが、ふたを開けてみれば若い世代が多くて驚いた」と話すのは、同社・営業統括部長の小林勝海さん。
渋谷では「すでに60人以上の応募がある」(小林さん)といい、手応えは上々。オーディションでは安野さんの模範口演後、用意した朗読や紙芝居の1コマを実演してもらい、採用者を決める。
60代になった今も「現役」で紙芝居師を続ける安野さんは、1972年、当時大阪府だけに残っていた「紙芝居業者免許」を取得、「ヤッサン一座」を率い大阪を中心に活躍し、漫画博物館「京都国際ミュージアム」をはじめ、清水寺やアジア、欧州各地でも口演を行うベテラン。採用後は、月額13万円の固定給を支給しながら安野さんらが指導にあたり、独り立ちを支援。要請があれば実際にイベントなどにも出てもらい、歩合給を支給する。
同社では、紙芝居師の発掘・育成と同時に「受け手」となる顧客開拓にも着手。実際「大手から小規模なものまで全国から出演依頼は多い。1度に10人の派遣要請などもあり、需要は大いにある」(同)と胸を張る。「定年」がなく経験を積むほど収入が上がるのも、紙芝居師の魅力。テレビやインターネットなどにはない「アナログ」なコミュニケーションで、紙芝居ならではの「触れ合い」文化の訴求を目指す。
オーディションは13時~。履歴書の送付は今月23日まで(学生不可)。