光学機器・ガラスメーカーHOYAの直営店「HOYA CRYSTAL TOKYO」(南青山5)が5月、営業を終了する。同社は3月までにクリスタル事業から撤退、閉店はこれを受けたもの。
1941(昭和16)年、国内初の光学ガラス専門メーカーとして創業した同社は、終戦直後の1945年からクリスタル事業に乗り出した。90年代初頭のバブル崩壊後、法人需要の不振や格安ガラスの流入で事業を縮小、職人によるハンドメード体制を整え、事業を存続してきた。
事業縮小後は、国内外の気鋭クリエーターらとの協業などで革新的な製品作りにも着手。展示企画や、デザインイベント「東京デザイナーズウィーク」への出展を通じ、カラフルなクリスタル製のアクセサリーや、表面加工などにこだわったキャンドルなどデザイン性の高いクリスタル製品を発表してきた。
2007年10月、南青山に開業した直営店では、「秘密の花園」をコンセプトにクリエーティブユニット「生意気」ら東京カルチャーを代表するクリエーターコラボレーション。店の一角ではブックディレクター幅(はば)允孝さん(BACH)によるライブラリーを展開、地下1階にはギャラリー機能を設け、環境運動「100万人のキャンドルナイト」などにも参加してきた。
同社によると、事業撤退は世界的経済危機の影響を受けたグループ全体の経営体質強化、収益性改善計画の一環。消費減速により、業績悪化の見通しとなったため、クリスタル事業の継続を断念した。3月いっぱいで事業を撤退し、直営店は5月12日まで営業を続ける。