写美で戦前の写真家「中山岩太」展-よみがえったプリント作品も

1930年代のモダニズムを視覚化した作品としてとらえられたポートレート作品「上海から来た女」(1936年頃)

1930年代のモダニズムを視覚化した作品としてとらえられたポートレート作品「上海から来た女」(1936年頃)

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 昭和初期に起きた写真の表現運動「新興写真」の旗手で写真家、中山岩太(いわた)の作品を紹介する企画展「甦る中山岩太:モダニズムの光と影」が12月13日より、東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内、TEL 03-3280-0099)3階展示室で開催されている。

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 1895年福岡県生まれの中山岩太は、1918年に東京芸術学校(現・東京芸術大学)臨時写真科を卒業後、海外実習生として渡米。1921年にニューヨークで写真スタジオを開設した後にパリに渡り、ファッション誌「フェミナ」で嘱託写真家として活躍する。同地で藤田嗣治やマン・レイなどと交流を深め、1927年に帰国。1930年に写真家団体「芦屋カメラクラブ」を結成し、1932年には野島康三、木村伊兵衛らとともに雑誌「光画(こうが)」を創刊。日本の近代写真をけん引した。

 同展では、中山岩太の魅力のひとつとされるプリント作品を中心に、4部構成で軌跡を追う。自身が手掛けたプリント作品81点をはじめ、写真術の初期に用いられた「ガラス乾板」の作品をもとに銀塩印画紙で新たに制作し、よみがえらせたプリント作品41点なども公開。当時のガラス乾板や写真の引き伸ばしの際の工夫などが分かる資料も展示し、制作過程を明らかにする。光画など当時の写真雑誌も含め、作品や資料なども紹介する。

 来年1月25日には「中山岩太のニュープリントを制作して」をテーマに、写真家の古いネガからニュープリントを制作するプリンターの比田井一良さんと、同館専門調査員、金子隆一さんがトークイベントを開催。同展で比田井さんは、ガラス乾板の作品からプリント作品41点をよみがえらせる作業にも参加した。

 開館時間は10時~18時(木曜・金曜は20時まで)。月曜休館(12月29日~来年1月1日は休館)。入場料は、一般=700円、学生=600円ほか。来年2月8日まで。

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