岡本太郎記念現代芸術振興財団(港区南青山6)は8月25日、白熱した「招致合戦」を制し今年3月渋谷への恒久設置が決まった故・岡本太郎の壁画「明日の神話」の設置工事を、8月27日に着工すると発表した。
「明日の神話」は、岡本太郎がメキシコの地で原爆さく裂の瞬間を描いた、縦5.5メートル、幅30メートルに及ぶ巨大壁画作品。制作後に所在不明となり、発見・修復作業後2006年から一般公開が始まるも、恒久設置場所は決まっていなかった。
招致に向け動きが活発化したのは昨年。共にひと足先に名乗りを上げていた広島市、大阪市に続き、昨年6月、太郎の生前の自宅兼アトリエがあった現「岡本太郎記念館」(港区南青山6)からも近い渋谷区が「参戦」したことで、署名活動など市民を巻き込んだ招致合戦に火が付いた。
「ハチ公から太郎へ。」をスローガンに地元団体やNPO、著名人らで組織した招致プロジェクトが招致活動を繰り広げた「渋谷」は、壁画の設置場所にJR渋谷駅(西口)と井の頭線改札を結ぶ「渋谷マークシティ」の2階連絡通路部分を指定。1日30万人の通行量で多くの人の目に触れる点や、ハチ公前交差点からも壁画の一部を見ることができる高い情報発信性などが「パブリックアート」として描かれた同作の魅力を生かせるとして、恒久設置場所に選ばれた。
今月27日に始まる設置工事は、作品の安全を考慮し仮設の足場などを組む準備工事に約1カ月かけ、10月2日から本体工事、壁画搬入を開始。作業は人通りがなくなる終電から始発までの夜間が中心になるという。一般公開は11月17日を予定。