米国史に迫る大規模写真展「ヴィジョンズ・オブ・アメリカ」-写美で

「リンカーンの肖像」(1860年代前半、M .ブレイディ・スタジオ、ティンタイプ)

「リンカーンの肖像」(1860年代前半、M .ブレイディ・スタジオ、ティンタイプ)

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 東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス、TEL 03-3280-0099)は7月5日より、同館の所蔵作品の中から「アメリカ」に関連する作品だけを集めた写真展「ヴィジョンズ・オブ・アメリカ」を開催する。会場は3階展示室。

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 同館が所有する約23,000点のコレクションの中から、米国にテーマをしぼった写真のみを選び展示する。19世紀、世界初の写真技法「ダゲレオタイプ」が登場した時代から、現代に至るまでの写真を一堂に集め、米国の歴史をを「再発見、再確認」(同館)する。日本でもなじみのある写真や著名写真家による作品などを3部構成で紹介する。

 初日から始まる第1部「星条旗 1839-1917」(8月24日まで)では、フランスから米国にダゲレオタイプ(銀板写真)が渡来した1839年から、米独自の写真芸術を確立したとも言われるアルフレッド・スティーグリッツが主宰した写真雑誌「カメラ・ワーク」が休刊した1917年までの作品を集める。南北戦争や西部開拓、海外遠征に向かう旅客船などを収めた作品をはじめ、米国人によって初めて撮られた日本人、田中光儀のポートレート「田中光儀像」(1854年、エリファレット・ブラウン・ジュニア、重要文化財)、木製のカメラやロケットペンダントなどの装飾品も展示する。展示作品は約150点。

 第2部は「わが祖国 1918-1961」(8月30日~10月19日)。アメリカ第一次世界大戦が終結した1918年からケネディ大統領就任の1961年までの写真を扱う。経済、文化、ライフスタイルなどが世界に広まった成長期の米国で活躍し写真史に名を残した著名写真家たちの作品を展示、当時の米国の姿を浮き彫りにする。フォトジャーナリスト、ウィリアム=ユージン・スミスがとらえた「仕事中のチャップリン」(1952年)や、米軍がノルマンディー海岸に上陸する一瞬をとらえたロバート・キャパの作品など、歴史的な報道写真が並ぶ。

 ビート世代を代表する小説家・詩人、ジャック・ケルアックが小説「オン・ザ・ロード」を発表した1957年からの作品を展示するのは、第3部「アメリカン・メガミックス 1957-1987」(10月25日~12月7日)。ポップアートの旗手アンディ・ウォーホルが他界した1987年までの写真を、「路上」「砂漠」「戦場」「家」「メディア」の5つの象徴的な場所をキーワードに展示。写真や美術、文学、音楽など20世紀後半の米国文化が現代に与えた影響を考察する。展示作品は、NASAの月面着陸時の写真をはじめ、コスチュームでさまざまなタイプの女性を演じその姿を収めたセルフポートレートで脚光を浴びた写真家、映画監督シンディ・シャーマンさんによる「アンタイトルド・フィルム・スティル」シリーズなど。

 会期中は各展示に併せ、関連イベントも開催。開館時間は10時~18時(木曜・金曜は20時まで)。月曜休館。入場料は、一般=500円、学生=400円ほか。

東京都写真美術館写美で「世界報道写真展」-故・長井健司さんの取材テープ上映も(シブヤ経済新聞)写美で「マリオ・ジャコメッリ」写真展-「生」「死」をハイコントラストで表現(シブヤ経済新聞)写美で「シュルレアリスムと写真」展-マン・レイや植田正治の作品も(シブヤ経済新聞)写真でたどる「昭和」史−戦後日本の希少写真など600点(シブヤ経済新聞)

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