7月1日午後、代々木公園サッカー場に「ロナウジーニョ」旋風が吹き荒れた。
ブラジル出身のスターサッカー選手で、現在来日中のロナウジーニョ・ガウーショ選手が多忙の合間を縫って訪れたのは、400人以上の少年少女が待ち受けるサッカー場。この日は事前の予選ラウンドで選ばれた10人が、ロナウジーニョ選手との夢の「スペシャルマッチ」に挑んだ。
スペシャルマッチは、渋谷を中心にアスリートやアーティストなどの若手支援活動を展開するNPO「KOMPOSITION(コンポジション)」(渋谷区南平台町)が「Summer Challenge 08」と題し開催したもの。同選手が契約するナイキと協力し「ドリームマッチ」が実現した。
この日世界のロナウジーニョ選手と同じグラウンドに立てる「夢の舞台」への出場権を勝ち取ったのはわずか10人。午後から始まった予選ラウンドに挑んだ参加者は400人を超え、小学生から高校生まで各地から集まった少年少女が限られた時間で技を競った。審査を担当した「キャプテン翼」作者の高橋陽一さんは「一生懸命さが伝わるプレーが好評価。皆レベルが高くて驚いた」と話し、熱心にメモを取りながら慎重に審査を進めた。
8人1組の「即席」チーム同士の試合が続き、挑戦を終えた参加者は観客席に。スペシャルマッチ目前に予選通過者が発表され、10人がグラウンドに集まると、BGMとともにロナウジーニョ選手が登場。サッカー場全体が熱気と歓声に包まれた。真っ赤なトップスでさっそうと現れたロナウジーニョ選手を前に、選考に漏れた参加者たちも「お~」と歓声を上げ感動しきり。
ロナウジーニョ選手は、高橋さんとともに審査を担当した元日本代表の名良橋晃選手、中西永輔選手ともあいさつを交わし、「大勢の子どもが来てくれて感動した。夢をあきらめずにたくさん練習すれば世界最高の選手になれる」とエールを送った。
試合は、ロナウジーニョ選手と選ばれた10人によるドリームチームと、高橋さん、名良橋選手らで組んだ高橋チームが対戦。開始直後、ロナウジーニョ選手のアシストでドリームチームが先制すると、一回り小さい小学生プレーヤーらと終始息の合ったプレーを披露し、キラーパスに加え得意の「エラシコ」も飛び出すなど、観客をわかせ続けた。試合は元日本代表の意地をかけ高橋チームの選手も健闘、10分ほどのドリームマッチは2対2の引き分けに終わった。
試合後、MVP選手への景品授与を促されたロナウジーニョ選手は「全員にMVPをあげたい」とこれをかたくなに拒否。10人全員にサイン入りサッカー雑誌を手渡すなど優しい一面ものぞかせた。ドリームマッチに参加した足立区の小学5年生、佐藤魁斗(かいと)君は「パスの精度がすごかった」とロナウジーニョ選手から受け取ったパスの感覚が忘れられない様子。
バックサイドからスルーパスを受けた文京区の中学1年生、寺島京平君も「(もらったボールが)扱いやすかった。視野が広い」とパスの正確さを肌で感じたという。「将来はロナウジーニョみたいな選手になりたい」(寺島君)と目を輝かせる。多摩市・高校2年生の太田愛美さんは唯一選ばれた女性にも関わらず堂々としたプレーを披露。「オーラがすごかった」と試合を振り返った。
ロナウジーニョ選手と記念撮影に応じる10人の「選抜選手」(関連写真)ロナウジーニョ選手来日へ-代々木公園で一般参加マッチに参戦(シブヤ経済新聞)KOMPOSITIONナイキジャパン