リリー・フランキーさん演じる法廷画家と、その妻によるラブ・ストーリー「ぐるりのこと。」の公開を記念して、国学院大学渋谷キャンパス(渋谷区東4)で6月21日、イベント「法廷画家のお仕事。~映画『ぐるりのこと。』から考える裁判~」が行われた。主催はシブヤ大学(渋谷区宇田川町)
同キャンパスの法廷教室で行われたトークイベントには、同作が6年ぶりの新作となる橋口亮輔監督と、現役の法廷画家で映画撮影にも立ち会った染谷栄さんが参加。約70人の一般参加者を前に、「法廷画家」という職業や社会を震撼(しんかん)させた歴史的裁判の様子を語った。
イベントの冒頭、橋口監督は秋葉原の無差別殺傷事件に触れ、「映画の世界が地続きで事件につながっているように思う」とコメントした。法廷画家が描くディテールの細かさなどについてトークを展開し、「(犯罪者が)どのような属性を持っているのか、法廷画は言い当てている」と法廷画家という職業の面白さを語った。主演を務めたリリー・フランキーさんの演技については、「あまりにも自然な演技。ありのままのリリーさんの人柄が出ていた」という。
職業としての法廷画家について、染谷さんは「裁判を中庸な視点で見ている。画家であり観察者という立場を守り、(絵の中で)ジャッジは下さない」と述べ、忠実に描くことを心がけているという。1枚5~10分で描かれる法廷画。裁判の中で最も被告人のアクションが強い場面をとらえて描いていると話す。
実際に描いた、地下鉄サリン事件や宮崎勤死刑囚による幼女連続誘拐殺人事件の被告については、「極悪人は悪い人相だと思いがちだが、実際は普通の人」という。ただ、重要事件の犯罪者を描く際には「仕事以上に、使命感に駆られている」と内情を明かす。
同作は、シネマライズほかで全国順次ロードショー。