約80年前に沖縄からキューバへと渡った移民とその末裔(まつえい)を追ったドキュメンタリー「サルサとチャンプルー Cuba/Okinawa」(波多野哲朗監督)が5月10日より、渋谷「アップリンクX」(渋谷区宇田川町、TEL 03-6825-5502)でロードショー公開されている。
キューバに移り住んだ日本人移民一世や子孫の生活ぶりを追いながら、移民の暮らしに迫る社会派ドキュメンタリー。100歳近い移民一世の貴重なインタビューに加え、他国の文化や風土と混じり合い、過酷な歴史をたどりながらも逆境に立ち向かってきた「無国籍」な移民の姿を、取材クルーが実際に現地に滞在し、鮮明に映し出した。
映画の主な舞台となるのは、キューバ本島の南方約70キロに位置するキューバ最大の離島、フベントウ島。観光客もめったに訪れないというこの島には、かつて獄舎だったミュージアムのほかに目立った施設はなく、日本人が残した痕跡は簡素な墓地だけと、日本移民が日系コミュニティーを形成せず、キューバ人社会へと溶け込んでいった歴史を浮き彫りにさせる。
今回撮影隊は、今ではほとんど残っていない移民一世の男女2人に話を聞き、歴史的証言を残すことに成功している。キューバのサルサを原点に沖縄民謡をサルサにアレンジした独自の分野も開拓、キューバツアーも行う日本人バンド「KACHIMBA(カチンバ)1551」が全編にわたり音楽を担当した。配給はシネマチックネオ。
アップリンクXでは公開期間中、毎週金曜の上映終了後、監督とゲストによるトークショーを開催。別フロアの「アップリンクファクトリー」でも毎週金曜(一部土曜に公開も)にレイトショー上映を行っている。
入場料(当日)は、一般=1,500円、学生=1,300円ほか。6月6日まで。