ギャラリー360°(港区南青山5、TEL 03-3406-5823)では12月10日より、生前のジョン・レノンとオノ・ヨーコさんが共同で手がけた作品やオノさんの前衛的なフィルム作品を紹介する個展が開かれている。
このほど、恒例となった追悼ライブ「ジョン・レノン・スーパーライブ」のため来日したオノさん。生前のジョンの公私にわたるパートナーとして広く知られるが、その思想や作風にも大きな影響を与えた「前衛芸術家」としての側面は、今もなお衰えない。
同10日に始まった個展では、1970年に制作したフィルムを再解釈した近年のビデオ・インスタレーション作品を、日本初公開。会場には、過去にジョンと制作した作品や想像力を喚起するユニークな新作も並べられ、作品に込められたオノさんのメッセージを体感することができる。
会場内の暗室に広がるのは、オノさんの代表作の一つでもある「FLY」(1970年)の映像が所々で映し出される独特な空間。無反応な女性が1人全裸で横たわり、その上をハエが這う衝撃的な映像で物議も醸した同作を、6つのモニターで上映。モニターの映像はそれぞれ10秒ごとの時間差で流れるため、過去と未来が交錯し、時間そのものに取り込まれるような不思議な感覚に。細かくこだまする特徴的な音声も楽しめる。
別室の壁一面には、1971年に出版された印刷物「Museum of Modern F art」のプリントを並べた。同作はニューヨーク近代美術館で行ったとされる架空の展覧会図録がテーマ。ジョンは作品の中でオノさんの姿をとらえるなど撮影にも参加。当時の2人の親密さがうかがえる希少な作品となっている。
新作は、フィルムにも登場した「ハエ」そっくりの立体物を木製の箱に入れたマルチプル。箱に開けられた穴からハエを振り出し、名前を付けて封筒に入れ友人に送るメールアートの要素を組み込んだ。会場ではこのほか、米カーネギーリサイタルホールで開いた展覧会(1961年)限定のインフォメーションペーパーや、1970年制作の「WAR IS OVER, if you want it」と書かれたカードなどを展示。作品のほとんどが購入もできる。
入場無料。12月29日まで(日曜・祝日休廊)。
GALLERY 360°「WAR IS OVER!」-舞台あいさつにオノ・ヨーコさん(六本木経済新聞)表参道でオノ・ヨーコさんの新作インスタレーション(シブヤ経済新聞)