1970年代、多くのジャズ喫茶が軒を連ねた渋谷・百軒店で「伝説」となったロック喫茶「ブラック・ホーク」を題材にしたムック本が、このほど音楽出版社(千代田区)から出版される。
当時「オスカー」や「ブルーノート」「ありんこ」などのジャズ喫茶が集積し、音楽ファンの「遊び場」となっていた渋谷・百軒店に、ブラック・ホークが開店したのは1967年。名曲喫茶の流れを継ぐ本格派ジャズ喫茶として硬派なファンを集めた「DIG渋谷店」のオーナー交代で、ロック喫茶へと方向転換した同店は、70年代に入り「ブリティッシュ・トラッド」を積極的に紹介し、注目を集める。
70年代半ば、国内ではまだ浸透していなかったブリティッシュ・トラッドを取り上げたことで、店からは「トラッド愛好会」などのグループも派生。レコード係を担当した松平維秋さん(のちにロック評論家、故人)の選曲は「ヒューマン・ソングス」の名で親しまれた。店は1986年に閉店するが、当時の百軒店を知る人々にとって「伝説の店」のエピソードは今も語り継がれている。
音楽出版社が10月29日に発売するCDジャーナルムック「渋谷百軒店 ブラック・ホーク伝説 ~70年代、世の流れに同調しない個性派ロック喫茶があった~」では、同店が歩んだ道のりを関係者のインタビューや追想アンケートなどで振り返る。
ムックには、当時ブラック・ホークが発行していた音楽誌「スモールタウントーク」第11号で組まれた特集「ブラック・ホークの選んだ99枚のレコード」を、CDでも選べる「ブラック・ホークの選んだ99枚のディスク」として最収録。松平さんが当時寄稿したエッセーも再収録する。B5判160ページ、価格は2,000円。
11月中旬には、ディスクユニオン新宿ルーツ&トラディショナル館でムック出版を記念したトークイベントを開催。ディスクユニオンでは99枚の名盤特集も予定している。