5月27日に閉幕した第60回カンヌ国際映画祭で、最高賞に次ぐグランプリ(審査員特別大賞)を獲得した河瀬直美監督の受賞作「殯(もがり)の森」が6月23日より、渋谷のミニシアター「シネマ・アンジェリカ」(渋谷区道玄坂1、TEL 03-5459-0581)で公開される。
同作は、奈良県東部のグループホームを舞台に、亡き妻を思い続ける初老の男性と子を亡くし介護福祉士としてやってきた女性との交流を描く物語。1997年に同映画祭でカメラドール(新人監督賞)を最年少受賞してからも、各国の映画祭で賞賛を浴びてきた河瀬監督が「快適な空間のみを追い求めるあまり大切なものを確かめられない現代人」に向けて描き出した「魂」のストーリーが、今回の受賞につながった。
渋谷マークシティ裏手に位置し、国内外の「独立系」映画を数多く上映、最近では「スタジオジブリ」が手がける海外アニメ配給事業の「専用劇場」としても注目を集めた「シネマ・アンジェリカ」は、同作のカンヌ映画祭(コンペティション部門)正式出品が決まる前から、上映が決まっていた数少ない劇場の一つ。東京地区で23日から公開が始まるのは同劇場と千葉劇場のみ。
同館では公開に先駆け、同16日から22日まで新人監督賞を受賞した「萌の朱雀」をはじめ、過去の作品「火垂」「沙羅双樹」や監督自らの出産をドキュメンタリーにした「垂乳女」を特集上映。公開初日の舞台挨拶では河瀬監督が壇上に立つことも決まった。
同作の配給を手がける「組画」(台東区)担当者によると、作品は7月、8月以降全国の劇場で順次公開が始まるという。