東急百貨店(渋谷区道玄坂2)は年内にも渋谷・本店の冷暖房設備を全面リニューアルし、館内の省エネルギー対策を本格化させる。東京電力や三菱商事などの出資会社が請け負う省エネ支援サービス「ESCO(エスコ)」事業を活用し、二酸化炭素(CO2)削減にも取り組む。
東急グループは、スイス・ジュネーブのISO本部が制定する環境マネジメントシステム「ISO 14001」に賛同するかたちで数年前から運営施設内での環境保全対策に着手。百貨店では2003年に町田店、2005年に札幌店でそれぞれ省エネ設備を導入するなど具対策を講じてきた。
本店の設備リニューアルにあたり活用するのは、全国のホテルや病院、オフィスビルなどでも導入事例の多い省エネ支援サービス「ESCO」。改善に必要な技術や設備、人材などを包括的に提供し、資金面でも支援を行う代わりに、省エネ効果で生まれる経費削減分の一部を報酬として受け取る。
ESCO事業では省エネ対策の事例の応じ「事業主」を代替業者が請け負うが、今回は慶応義塾大学病院(新宿区)や伊勢丹相模原店などの省エネ支援も請け負った「日本ファシリティ・ソリューション」(新宿区)が冷暖房設備のリニューアルを担当する。同社は東電が筆頭株主で、三菱商事、関電工、山武がそれぞれ出資している。
館内では、冷房用のターボ冷凍機を最新鋭の機器に替えるほか、暖房は従来の重油から「ガス炊き」に替えて6%のCO2削減を目指す。想定省エネ効果は5%。年内で更新工事を終了し、今年12月までに全面更新を終える予定。同本店の冷暖房設備更新は約40年ぶりという。