タオルの産地として知られる愛媛県今治市の今治商工会議所と四国タオル工業組合は2月15日、青山・スパイラル(港区南青山5)でアートディレクターの佐藤可士和さんを起用したブランディング・プロジェクト「今治タオルプロジェクト」の発表会見を行った。
今治商工会議所によれば、1894年(明治27年)にタオルの生産を始めた今治市が現在製造しているタオルは年間13,643万トン、売上高は194億円(2005年)に上るという。中国製が約8割のシェアを占めると言われる日本市場でも1割以上のシェアを誇る「今治タオル」は、著名ブランドの名を冠して売られているものも多く、品質に対する世界的評価も高いが、「タオルの産地」としての認知度は「2割にも満たないのが現状」(四国タオル工業組合)。
こうした背景から、中小企業庁が商工会や地域の企業を集めて資源・技術などのブランド戦略構築を支援する「JAPANブランド育成支援事業」の一環としてスタートしたのが、今治タオルプロジェクト。プロジェクトは昨年6月に本格始動し、「ブランディングプロジェクト・クリエイティブディレクター」に佐藤可士和さんを起用。会見では佐藤さんがデザインしたブランドロゴや今後の活動内容などが発表された。
ロゴマークは、白を背景に赤と青のモチーフで太陽と海をかたどったシンプルなデザイン。「赤は産地の活力、青は(タオル生産時に使われる)豊かな水、白はタオルのやさしさや清潔感をイメージした」(佐藤さん)という。ロゴは今後、四国タオル工業組合による独自の「認定基準」に合格した製品に付けられる予定。佐藤さんは会見で「地域のブランディングに携わるのは今回が初めて。『今治』のアイデンティティを作っていきたい」と話した。
プロジェクトでは、「感動の連鎖」をキーワードにオリジナル商品の開発やアーティストとのコラボレーションを展開。オリジナル第1弾として、新たなロゴをプリントしたタグを付けた真っ白なタオルを発表したほか、コスチュームアーティストのひびのこづえさんは、吸水性の高い「薄い」パイル地を使ったバスタオルやパジャマ、キャップなどのタオルシリーズをプロデュースした。
スパイラル1階ショーケースでは同15日から5日間、これらの製品を展示するとともに、今年6月に東京国際展示場で行われる見本市「インテリアライフスタイル2007」に先がけてタオルの販売も行う。同プロジェクトでコーディネーターを務めるマーケティングプランナーの富山達章さんは、今回の展示について「第1弾の発表の場として(今治タオルを)青山に集まる『感覚の鋭い人』たちに伝えていきたい」と話している。
プロジェクトでは今後2年かけて、「タオルソムリエ」の資格認定制度の導入や「タオル見本帳」の制作などに着手していくという。