「刺繍」をモチーフに、織物のドローイングや解体作品などのユニークな作品を発表し続ける若手現代美術家、手塚愛子さんの企画展「薄い膜、地下の森」が1月5日、青山・スパイラル(港区南青山5、TEL 03-3498-1171)で始まった。
手塚さんの作品は、細かい刺繍があしらわれた既成の織物から特定の糸だけを引き抜きそのまま生地に垂らす「引き抜く」作品や、ひとつの織物を解体した糸で異なる模様を編み上げる作品など、独特の作風で注目を浴びている。
1976年東京生まれの手塚さんは、武蔵野美術大学、同大学院などで油絵を学んだ後、博士号(美術)を取得。在学中からグループ展、個展などで作品を発表し、2005年にはINAXギャラリー(銀座)で個展も開催した。
今回の個展は、スパイラルが若手発掘を目的に行っている企画展シリーズ「art−life(アートライフ)」の一環で行うもの。展示中の新作は、直径7メートルの巨大刺繍作品。会場では、吹き抜け空間になったアトリウムに作品を浮かべ、作品の下から刺繍の裏面を覗けるようになっている。作品は、吹き抜けの上から見ることもできる。
新作に加え、会場にはこれまでに手塚さんが手がけた過去の作品も併せて展示。ドローイング作品を含む約25点の作品を紹介している。入場無料。1月18日まで。(写真=スパイラルで展示中の新作©Spiral / Wacoal Art Center)