オノ・ヨーコさんによる新作展が11月6日より、表参道「ギャラリー360°」(港区南青山5、TEL 03-3406-5823)で開催されている。
故ジョン・レノンの妻で、前衛芸術家としても知られるオノさんは、自身の提案で2001年から始めたチャリティーコンサート「ジョン・レノン・スーパーライブ」のために来日したばかり。新作となる今回のインスタレーションでは、真っ白な空間に、オノさんらしいシンプルなメッセージを散りばめた。
作品タイトルは「OPEN/ひらけ」。会場に入ると視界に入るのは、ともに東京周辺を示した、約100年前の地図と現在の地図。二つの壁に、向かい合うように貼られた過去、現在の地図からは、驚くほどの変化がうかがえる。オノさんは、会場を訪れた人が地図上に「跡」を残せるように、「REMEMBER」「WAKE」「I LOVE YOU」などのメッセージを刻んだスタンプを用意した。スタンプには、「OPEN」「ひらけ」の文字もある。
オノさんは今年に入り、独ベルリンなどの都市でも、同様のインスタレーションを行っている。開催される都市によってその周辺の地図を貼り出し、訪れた人が自由にスタンプを押す。この作品には、都市の通りや広場を、人間の体に流れる血液や血管とリンクさせるオノさんの意見が反映されているという。タイトルにもなっている「OPEN」のメッセージからは、過去の痛みを刻み付け、開放へと向かわせようとするオノさんの思いが伝わる。
また今回は、この作品と平行して2つの新作も公開された。36分割した地図のかけらを一つ一つ小さな木箱に入れた作品は、木箱を持つ人が集まると、再び大きな地図ができるというもの。鈴を入れたステンレス製のトリック・ボックスには、「06.Oct. 9」の文字を刻印し、かつてオノさんがジョン・レノンの名を漢字に置き換えた書「如雲玲音」にちなみ、「如雲玲音箱(ジョン・レノン・ボックス)」と名付けた。
会場には、オノさんが来場者に向けて残したメッセージボードが置かれている。「『OPEN/ひらけ』についての考えをお書き下さい」と書かれたボードには、表参道という場所柄、英語やフランス語のコメントも目立つ。中にはオノさん自らのメッセージも残されている。インスタレーションは同25日まで(入場無料)。日曜・祝日は休廊。