今年2月に開業した「表参道ヒルズ」のオープン後約半年が経過し、これまでの来館者数が計約650万人だったことが森ビル(港区)の発表で明らかになった。
表参道沿いにあった旧同潤会アパートの建替事業として建てられた同施設は、商業区画と住宅、駐車場などが入る地上6階地下6階の大型複合施設。商業区画の中核となる「本館」は、吹き抜けで螺旋状の「スパイラルスロープ」や中央に走る大階段が特徴で、ビル全体の設計は建築家の安藤忠雄さんが担当したことでも有名。施設には現在、計97店舗が出店している。
今回発表された総来館者数=650万人の平均は、平日=約3万人/日、土曜日曜休日=約5.5万人/日で、年間目標来館者=1,000万人~12,00万人、平均2.7万人/日を上回るペースで推移する形となった。施設全体の売り上げについては「非公開」としている。
好調の理由について森ビルは、「特に平日において、表参道ヒルズのメーンターゲットである近隣のファッション感度の高い大人の男女のリピート率が高い」とし、開業後安定した顧客を獲得してきたことを強調。今後もこうした顧客について「囲い込み強化を図る」とコメントしている。
一方、施設内に実際に店を構える店舗のうち、和菓子製造の老舗「両口屋是清」(本社=名古屋市)が出店した新業態カフェ「R style by 両口屋是清」(本館3階)では「週末はにぎわいがあるが、平日の集客は以前に比べだいぶ落ち着いてきた」(同社企画販売促進部、飯田正信さん)との声も。こうした状況について飯田さんは「四季折々のオリジナル和菓子を提供するのが、この店のコンセプト。オープン後の混乱も一息付き、今後はお客様の声を反映させる時期」と慎重な姿勢を崩さない。
「開業後半年経った現在も売り上げは思惑以上。出店効果は十分あった」と話すのは、メンズファッション中心のECサイト「BEYES(バイズ)」で初のリアルショップを出店したライトアップショッピングクラブ(旧ソニー・ファミリークラブ)BEYESビジネス推進部課長の黒田高弘さん。同社はカヤック(本社=神奈川県)と共同で2005年に同サイトを開設、表参道ヒルズ店はリアル店舗で唯一の拠点となる。黒田さんは顧客について、「平日は特に近隣からの来客が多い。普段から買い物に慣れ親しんでいる『上質な』リピート客が中心」と分析する。また、「事前にネットの情報を見てから足を運んでもらっている顧客も多い」(黒田さん)という。
表参道ヒルズ開業時に話題を集めた注目店のひとつ、「R/Cサーキットバー KYOSHO OMOTESANDO」(本館地下3階)は、ラジコン製造・販売の京商(本社=神奈川県)による初の旗艦店。店内にR/Cカー専用のミニサーキットを開設するなど「大人が楽しめる遊び場」として人気を呼んでいる。店舗では8月初旬、競技専用ロボット「MANOI AT01」の先行展示も行うなど、消費者向けに新商品をアピールするプロモーション拠点としての役割も大きい。今年12月には、同ロボットによる初の大会も行われる予定。
表参道ヒルズでは8月より、本館中央の大階段を舞台に自主企画の生演奏ライブイベントを開催。今後も週末恒例企画としてライブイベントを定着化させる考え。