
Bリーグ・サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)が4月19日、青山学院記念館(渋谷区渋谷4)で川崎ブレイブサンダース(以下、川崎)と対戦し68‐82で敗れた。
SR渋谷は残り8試合となった今月15日に今季チームを率いていたルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチ(HC)を解任し、アシスタントコーチ(AC)を務めていたカイル・ベイリーさんを新HCに迎え残りのシーズンを戦っている。新体制後初のホームゲームとなったこの日は、インサイドの外国籍選手を1人欠いている状況もあり、「どれだけチームとして戦えるかが大事で、できるだけ色々な選手を使いたい」と、ベイリーHCは第1クオーター(Q)からこれまで出場機会に恵まれていなかった日本人ビッグマン永吉佑也選手を起用するなどした。
16‐21と追う展開となった第2クオーター(Q)は攻守がはまらず23‐46と大差を付けられる。「一つのチームとして戦おう」と迎えた後半立ち上がりは点を取り合う展開となるが、ジョシュ・ホーキンソン選手が川崎のシュートをブロックするなど好守に加え、阿部諒選手や永吉選手、トロイ・マーフィージュニア選手ら途中出場した選手の3ポイント(P)シュートなど、第3Qだけで32得点を挙げた。
55‐65で迎えた最終Qは点差が思うように縮まらない中、船生選手が「うちにはクイックプレーがないので、空いたら打とうと思っていた」と、スローインでボールを受けた直後にシュートを沈めたほか、アタックからホーキンソン選手の得点をアシストするプレーも見せた。終盤には、昨年11月10日以来の出場となった村越圭佑選手がリバウンドからB1で初得点を挙げるなどしたが、前半の23点差が響き「追いつけなかった」(ベイリーHC)。
終盤に10点差に詰め寄った場面で主力選手であるアンソニー・クレモンズ選手やホーキンソン選手を出さなかったが、ベイリーHCは「スタートメンバーやベンチメンバーを分けて考えることはできない。ベンチメンバーが第3Qに23点差を戻してくれたからこそ彼らを出した」と言い、「ベンチメンバーでエナジーを与えられる選手はたくさんいる」と、意図的に選手をほぼ全員出場させた。残り5試合となり練習時間がないことから、自身の「スタイルやカラーを出すのは難しい」とこれまでと同様の戦術で戦う考えだが、「まずはチームとしてファイトし続けられるかが大事。お互い良い仲間になれるのか。勝ってようが負けていようがが、ベストを常に出すことが大事」と話す。
「点差以上に内容的にレベルが低いゲームだった」と振り返った船生選手。後半に出場し7得点や2アシストをマークしたが、「(HCが変わった)特殊な状況で、正直チャンピオンシップ(CS)出場もない。来季がある選手ない選手もいて川崎も消化試合になる中で100%の強度をもってプレーすることがプロとして望ましいと思うが、大きなけがをするリスクもあるのでこうなってしまうのも分からなくない。ただ個人的には今季プレータイムももらえていなかったので、応援に来てくれる人に対して100%の強度でやっただけ」と振り返る。
HC交代については「どうせなら最後までやってもいいかなとも思ったが、フロントの人の意見も聞いたので…」と触れ、「やることはルカの時もカイルの時も変わらない。具体的なゴールを一つ見失っているが、俺を見に来てくれる人も少なからずいるので、そういう人たちに応援してもらえるように全力でコートに立つだけ。出ている時にはそうやって引っ張って、シーズン最後まで走り抜きたい」と話した。
試合後取材に応じたサンロッカーズの神田康範社長は「具体的には話せない」中で、「我々としてはベストのタイミングで総合的に判断した。(同じHCで)走り切ることがベストだったと思うができなかったことは残念」などと答えるにとどまった。
一方で川崎はロネン・ギンズブルグHCが療養中のため勝久ジェフリーACが代行して指揮を執っている。「お互いイレギュラー」と表現した川崎の篠山竜青選手は「僕らは商品である試合を提供する側で、消費者=応援してくれる方がまた来たいと思うのか、来るのをやめようと思うのかが価値。年に1回この試合のチケットを取ってきてくれた人にとって、ルカがクビになったとかネノ(=ギンズブルグHC)が体調を崩してなかなかベンチに戻れないとか関係のない話。お互い消化試合ではあるが、プロの選手としてプライドをもってやりつづけることが大事。商品価値を落とさないようすることが問われるのでは」と言及した。