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忠犬「ハチ」没後90年 渋谷駅前で慰霊祭、再開発で景観も変化

慰霊祭で花輪をかけられる忠犬ハチ公像

慰霊祭で花輪をかけられる忠犬ハチ公像

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 忠犬「ハチ」の慰霊祭が4月8日、渋谷駅前のハチ公像の前で開かれた。

かつてのJRハチ公改札は封鎖され移設

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 例年、ハチの命日3月8日の1カ月後に開かれる慰霊祭は今年で90回目。快晴の下、周りのシダレザクラからヒラヒラと花びらが舞い落ちる中、渋谷区やハチの「故郷」大館市の関係者ら約70人が参列し、像の前で手を合わせた。式は金王八幡宮(渋谷区渋谷3)の宮司らによって執り行われ、祝詞奏上、玉串奉てんなどの儀式を経て、「忠犬ハチ公銅像維持会」の星野浩一会長と長谷部健渋谷区長がハチ公像に花輪をかけ、慰霊を終えた。

 渋谷駅周辺では、渋谷駅街区土地区画整理事業に伴い、大規模な改良工事が進み、ハチ公前広場の景色も大きく変わりつつある。今年に入り、1月にはJR渋谷駅ハチ公改札が移設され、ハチ公口の外壁に設置されていたパブリックアート「ハチ公ファミリー」も撤去。3月27日にはハチ公像の後ろにある花壇の撤去のため仮囲いが設置された。再整備後のハチ公改札周辺は、旧東急百貨店東横店(2020年3月閉店)が解体され区画整理が進む西口エリアを含め、約3倍の広さになる計画。

 仮囲いで狭くなった広場で執り行われた今年の慰霊祭。外国人観光客らの「人気者」でもあるハチ公像の前で式が始まると、訪れた観光客らが珍しそうに写真を撮る様子も見られた。

 式を終え、星野会長は2023年のハチ生誕100周年を振り返り、「大館市を中心に盛り上がった。その余韻がずっと残っているようで、ハチ公像がさらに有名になり、維持会の会員もうれしく思っている」と話し、長谷部区長も「ハチ公像は渋谷の『守り神』。渋谷から多くの縁を紡いでくれているので、引き続き渋谷区としても大切にしていきたい」と続けた。

 石田健佑大館市長は「渋谷の駅舎をモチーフにした観光交流施設『秋田犬の里』が昨年末に来館者数100万人を突破し、これからももっと発信していきたい。駅周辺で整備が進む中、もしハチ公像がどこかに『避難』しなければいけないときがあれば、大館市は大歓迎」と笑顔を見せた。

 像のモデルにもなっているハチは、1923(大正12)年に秋田・大舘で生まれ、生後2カ月で渋谷町大向地区(現在の松濤エリア)に住んでいた東京帝国大学教授上野英三郎博士の元に。上野博士の出勤時に渋谷駅の改札口まで送り迎えし、1925(大正14)年の博士急逝後も約10年間、毎日渋谷駅の改札前で帰りを待っていた姿が新聞で取り上げられ、全国的に知られるようになった。

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