
渋谷駅直結の複合施設「渋谷マークシティ」が4月7日で25周年を迎えた。
「渋谷がオトナになる日」をキャッチコピーに掲げて2000(平成12)年に開業した同施設。運営する渋谷マークシティの江柄好朗社長は「1990年代後半の渋谷は『SHIBUYA109』の人気の高まりとともに、ティーンエージャーなど若者中心の街と呼ばれていた。渋谷マークシティは、当時大人が遊びに来づらかった渋谷に、安心して来られる『街(複合施設)』として開業した」と話す。同日、旧東急百貨店東横店地下に「東急フードショー」が開業し、駅周辺に前後に開業した「QFRONT(キューフロント)」(1999年)や「セルリアンタワー」(2001年)との相乗効果もあり、「文字通り『渋谷がオトナになる日』がスタートした」。
京王井の頭線・渋谷駅に直結し、ショッピングモールとホテル、オフィスなどで構成される渋谷マークシティは、地上25階建ての「イースト棟」の5階~25階に「渋谷エクセルホテル東急」が入るほか、23階建ての「ウエスト棟」は低層階に飲食店などが入る商業施設と11階~23階のオフィスから成る。渋谷の「すり鉢」地形を生かし、道玄坂からの入り口はウエスト棟4階と接続。5階には高速バスターミナルもあり、交通の利便性や多様な機能を「ワンセット」で備えたランドマークとなっている。
メインターゲットの「オトナ」について、江柄社長は「高感度・高品位な20~30代のOL層」と説明。ターゲットに対し「上質で安心できる空間を提供し続けてきた」と続ける。フランスから上陸した人気コスメ店「SEPHORA(セフォラ)」が「その象徴的なブランドだった」と振り返る。同施設開業後、2013(平成25)年の東急東横線と東京メトロ副都心線との相互直通運転開始などの大きな変化もありながら、駅周辺では「渋谷ヒカリエ」(2012年4月)、「渋谷キャスト」(2017年4月)、「渋谷ストリーム」(2018年9月)、「渋谷スクランブルスクエア」(2019年11月)、「渋谷サクラステージ」(2023年11月)と、大規模な再開発が進んできた。
江柄社長は「駅周辺の大型再開発が進み、オフィス供給が大幅に増えるとともに高水準のマーケットとして成長してきた。渋谷マークシティはその起点となった」と捉える。「その中で埋もれないよう、施設のブランド力の発信を強めるため、ポジショニングを見直し続けた」とも。
2020年には、20周年を機に運営ビジョンを「街のプラットフォームへ」とし、渋谷で働いている人や来街者、訪日外国人などの多様な層を「渋谷ネイバーズ」と称してターゲットに据え直した。同年の大規模改装では、「日常性をコンセプトに日々の使い勝手が良い街(施設)」を目指し全店舗面積の約7割の改装に踏み切り、「渋谷東急フードショー」、百均ショップ「DAISO」などをオープン。新たなブランディング戦略も始め、マスコットキャラクター「マークとシティ」を発表するなど、施設の特性に合わせた発信やイベントにも注力してきた。
2027年度には、施設と隣接する、道玄坂沿いの敷地・約0.8ヘクタールを事業地とした再開発「道玄坂二丁目南地区第一種市街地再開発事業」が完成予定で、4階アベニュー部分で接続する計画。その後開業予定の駅直結施設「渋谷スクランブルスクエアII期(中央棟・西棟)」が完成すると、「渋谷駅東口に位置する渋谷ヒカリエ方面からの動線がつながるようになり、東西エリア回遊が活性化され、より多様なお客さまに訪れていただける」と先を見据える。
近隣の再開発完成に向け、「アベニューを中心に『五感』に刺激を与えるような館内環境やMDを見直し、日常性に加えて、渋谷マークシティにしかない『わくわくする』店、ブランドも編集していく」と言う。旧東急本店跡地に2029年度に完成予定の「渋谷アッパーウエストプロジェクト」についても触れ、「周辺再開発事業と連携することで、エリア全体の魅力と回遊性が飛躍的に向上していく中で、これからも西口エリアの『玄関口』としてのプレゼンス向上を図っていく」と、渋谷エリアでの同施設の「役割」について言及。「渋谷の街の真ん中で『常に一歩先へ』。これからも魅力を発信し続けていくので、期待していただければ」と呼びかける。
現在、25周年を記念したイベントも展開している。今月25日~27日、館内対象店舗の利用客を対象にプレゼント抽選会を行うほか、渋谷エクセルホテル東急でも館内装飾や限定メニューなどの企画を展開する。