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渋谷区と飲料メーカー4社、ペットボトルの水平リサイクル事業で連携

長谷部健渋谷区長(中央)と飲料メーカー4社の代表者

長谷部健渋谷区長(中央)と飲料メーカー4社の代表者

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 渋谷区は3月28日、飲料メーカー4社とペットボトルの水平リサイクルに関する協定を締結した。4月から区内の家庭から回収した使用済みペットボトルを、同素材のペットボトルに再生する水平リサイクル「ボトルtoボトル」事業を始める。

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 今年2月の「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律の一部の施行期日を定める政令(再資源化事業等の高度化法)」の一部施行を背景に、飲料メーカー4社(アサヒ飲料、伊藤園、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、ポッカサポロフード&ビバレッジ)が提案したもの。飲料各社はペットボトル容器をリサイクル材・バイオ材に変えていくなど、循環型社会への貢献や環境負荷低減に向けた取り組みを推進している。

 区は、前年のモデル事業を経て2008(平成20)年10月、ペットボトルを資源として分別回収を開始。ペットボトルだけでなくプラスチックや古紙などを含めた資源は現在、日本容器包装リサイクル協会を通じてリサイクラー(再生処理事業者)に販売。ペットボトルだけでなくプラスチック容器や衣類などにリサイクルされている。

 飲料各社はすでに、区と公民連携制度「S-SAP(シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー)協定」を締結。ほか区内に事業所を構えて、地域としてゆかりがあることや、リサイクル以外の取り組みも行っていることや、ペットボトルのリサイクルに対して「思いが合致した」ことから、今回渋谷区と手を組んだ。区のペットボトル回収量は、2023年度は約1277トンで、キャップやラベルを剥がした「良質なペットボトルが1000トン以上出ているのは自治体としては多い」と言う。

 水平リサイクルするのは、プラスチック資源となるラベルやキャップを除いたペットボトル本体。区が回収したペットボトルは、区が委託する事業者により圧縮・梱包(こんぽう)された後、飲料メーカーから推薦を受け新たに契約するリサイクラー(再生処理事業者)に売却。リサイクラーは回収したペットボトルからペット容器の原料となる樹脂「レジン」を製造。飲料各社がそのレジンを購入し、再生ペットボトルの製造を行う流れとなる。生産流通関係上特定はできないが、区民が分別したペッとボトルは「確実にペットボトルに使われる」ようになる。

 アサヒ飲料の未来創造本部CSV戦略部長三浦正博さんは「業界でペットボトルをリサイクルして社会課題を解決することは重要なミッションで、業界連携を区と締結することは非常に意味ある。渋谷区から東京、日本全体にも良いモデルケースになるように、業界でも連携して貢献していきたい」、ポッカサッポロフード&ビバレッジの取締役執行役員北村洋一さんは「業界の垣根を越えて区と協定を結び、飲料製造販売の責任者として持続可能な循環型社会を目指したい」と、意欲を見せる。

 伊藤園の常務執行役員東京・南関東地域営業本部長貴志望さんは「区民にも資源循環に意識を高めてほしい」と期待を込め、コカ・コーラ ボトラーズジャパンのQSE&サプライチェーンエクセレンス統括部サプライチェーン戦略グループ統括部統括部長坂井健太郎さんは「住民、行政、事業者が一体となってペットボトルの循環利用の貢献を目指していきたい」と続けた。

 区が回収するペットボトル以外の資源はこれまで通り、日本容器包装リサイクル協会を通じてリサイクルされる。

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