
企画展「江戸の本屋さん」が現在、渋谷の国学院大学(渋谷区東4)キャンパス内の「国学院大学博物館 企画展示室」で開催されている。
江戸時代の文学「江戸戯作(通俗小説などの総称)」や江戸の書店の活動を概観。同大図書館所蔵の江戸戯作コレクション蔵本を中心に、江戸時代後期の版本(=出版本)・錦絵などを紹介する。
安土桃山時代に海外から輸入した印刷技術を改良・発展させた結果、文学作品が印刷物として流通するようになり、多くの人に読まれるようになったことから、江戸時代は「文学にとって重要な時期」としても知られる。江戸時代前期に京都・大阪で盛んになった出版文化が、江戸中期に江戸で独自の江戸戯作として発達したという。
会場では、判型(=サイズ)の異なる本を並べ比較できるように展示。幼児・女性向けの昔話や言葉遊びなどの「赤本」や、長編物語類「合巻」など絵入りの読み物「草双紙」、遊郭文化を題材にした「洒落本」、庶民の日常や文化を面白おかしく描いた「滑稽本」など、江戸戯作のジャンル、執筆・依頼、刷り・製本、販売・貸本など版本が作られる流れなどを紹介する。
版本の制作~販売を手がけていた版元(=出版社)を紹介するエリアでは、江戸後期に「活躍した」という娯楽的な本を扱う「地本問屋」に焦点を当てる。江戸の中でも「特に有名」だったという、江戸中期に草双紙を多く出版した「鱗形屋孫兵衛」と、吉原のそばで貸本店を始めた後に日本橋に出店し戯作類を出版した「蔦屋重三郎」や、京都発「鶴屋喜右衛門」などについても説明する。
江戸時代後期に活躍した戯作者として、太田南畝、山東京伝、曲亭馬琴、十返舎一九、式亭三馬、柳亭種彦、為永春水の作品、同大図書館の錦絵や豆本コレクションなども展示する。
開館時間は10時~18時。入場無料。月曜休館(祝日は開館)。4月20日まで。