
写真家・アーティスト鷹野隆大さんの展覧会「総合開館30周年記念 鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―」が現在、恵比寿の東京都写真美術館(恵比寿ガーデンプレイス内、TEL 03-3280-0099)で開催されている。
1990(平成2)年の一次施設開館を経て、1995(平成7)年1月に総合開館した同館の30周年記念展の第1弾企画。鷹野さんは、同館が日本の代表的な作家や写真史上で重要な作家などを対象とする「重点収蔵作家」の一人。
1963(昭和38)年、福井生まれの鷹野さんは、1994(平成6)年に「セクシュアリティ」をテーマに作家活動を開始。2006(平成18)年に写真集「IN MY ROOM」で第31回木村伊兵衛写真賞を受賞。1998(平成10)年から毎日欠かさず撮るプロジェクト「毎日写真」を行っているほか、2011(平成23)年からは東日本大震災を機に影をテーマにした作品の制作に取り組んでいる。
展覧会名の「カスババ」は、「毎日写真」の中から「日本特有の無秩序な都市空間」の写真を集めたシリーズのタイトル。鷹野さんが、「どうしようもなく退屈で取り留めのない場所」から着想した「滓(カス)のような場所(バ)の複数形」の意味で名付けた。
会場は、鷹野さんが提示した「都市空間」をキーワードに、建築家の西澤徹夫さんが構成。「都市」に重ね合わせて、公園や路地裏などの要素を取り入れている。「日常」をテーマにしたスナップシリーズを中心に、写真だけでなく映像やインスタレーションなど、初公開作品も含めた約120点を紹介する。
作品は、「IN MY ROOM」などセクシュアリティをテーマにした作品、毎日写真、カスババ、影を被写体にした「Red Room Project」、コロナ禍に制作された最新作「CVD19」など。館内のオープンスペースでは、会期中金曜(18時~20時)にビルの陰に花火が打ち上がる様子を撮影した映像作品「花火」を上映している。
4月4日、5月2日(各日14時~)には担当学芸員によるギャラリートークを行うほか、4月5日、5月3日・24日(各日15時~16時30分)には、同館1階ホールで鷹野さんとゲストを招いた対談も予定する。定員は190人。参加無料(当日10時~整理券配布)。
開館時間は10時~18時(木曜・金曜は20時まで)。月曜定休(5月5日は開館し、同7日が休館)。観覧料は、一般=700円、学生=560円、中高生・65歳以上=350円ほか。6月8日まで。