
青山キラー通りから一本入った約1500平方メートルの国有地(渋谷区神宮前3)を活用した菜園「原宿はらっぱファーム」が4月19日にオープンする。
テニスコート7面分ほどの敷地は、かつて印刷局宿舎があり、数年空き地になっていた場所。地元住民をはじめ、原宿や表参道エリアを中心にコミュニティーガーデンやコンポストの普及活動をしてきたグループが国や渋谷区と交渉を重ね、2026年1月まで菜園として運用することが決まった。
土地は、渋谷区が国から管理を受託。さらに区から管理を受託した、地域住民や支援者らでつくる「都市農地と防災のための菜園協議会」が、畑の設営や運営を手がける。プロジェクトでは、地域家庭から出る生ごみや都内の製材所から出る木くずなど、廃棄される有機資源を堆肥にし、化学肥料や農薬を使わない畑を参加者らと作る。同地の菜園化に向け動いてきた、アーティストでコンポストアドバイザーの美喜子さんが代表を務めるNPO法人「コンポスト東京」(同)も協力する。
菜園では、3月初旬に公募で決まった8人1組、計2組の16人がメンバーとなり育てる、「つながる畑」や「学びの畑」をはじめ、訪れる人が在園スタッフと共に畑作業や収穫できる「みんなの畑」などの畑を運用。敷地内には、コミュニティーコンポストや建設廃材などを活用した循環型農業を実践する「実験の畑」や、元の生態系を生かしながら野草やハーブ、花など育て、散歩もできる「原っぱエリア」なども展開。災害時などに使える「防災かまど」なども用意し、週5日ほど開園する予定。
畑は、区立原宿外苑中学校など近隣の学校や、保育園の子どもたち、地域住民の菜園活動の場としても活用。コンポストに関する講座や交流会なども開いていく予定。同19日にはオープニングイベントを開き、ミニマルシェなども予定する。
美喜子さんは「原宿や渋谷という世界中の方が知ってるような場所から、畑作りの良さや資源の循環の大切さなどを伝えていきたい。土地があったらビルを建て開発することも多い中で、畑を作ることで自分たちも自然の一部だと思い出せるような、地域や周りの人が喜ぶプロジェクトにしていきたい」と意気込みを見せる。
現在、クラウドファンディング「CAMPFIRE」で、人件費や水道工事費、土代などに充てるための運営資金を募っている。目標金額は333万円。4月3日まで。