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渋谷で服飾学生がアップサイクル作品展示 「ルッキズム」などテーマに

最優秀賞に選ばれた作品と制作した学生たち

最優秀賞に選ばれた作品と制作した学生たち

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 服飾専門学校・ファッション専門学校「文化服装学院」の学生が社会課題をアップサイクルファッションで表現した作品が2月25日から、SHIBUYA109 渋谷店(渋谷区道玄坂2)で展示されている。

上位入賞チームの作品

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 同校と施設を運営するSHIBUYA109エンタテイメント(道玄坂2)の産学連携企画。2021年に同校の学生(当時)が立ち上げた、サステナブルなどをテーマにしたブランドのポップアップストアをきっかけに連携。2022年度からファッションを通じて「Z世代が感じる社会課題」を発信する取り組みとして、作品を展示している。

 作品は、ファッション流通専門課程1年生の「ファッションビジネス」カリキュラムの一環で制作。学生約250人が40チームに分かれ、各チームそれぞれが社会課題を挙げ、その背景や原因として起こる問題などを深掘り。ファッションEC「ZOZOTOWN」を運営するZOZO(千葉県)協力の下、同サイトのブランド古着ファッションゾーン「ZOZOUSED」の古着約600点を使って洋服を作りコーディネートした。1月に同校で公開プレゼンテーションを行い、同校学院長、ZOZO、SHIBUYA109エンタテイメント担当者らが、「テーマ発見・分析力」「アップサイクル度」「ビジュアルクリエーション力」など5項目を基準に審査し、15作品を選んだ。

 最優秀賞に選ばれたのは、「ルッキズム」をテーマにした作品。「かわいさへの先入観や固定概念、周りの目を意識して自分磨きをしている人も多いと思うが、自分が好きな姿、自分が思う『かわいい』を貫いてほしい。自分の在り方、見せ方、見られ方にもっと前向きになってほしい」(佐瀬はるかさん)という思いを込めて、テーマを選んだ。

 「社会問題」は暗い印象を持たれがちだが、「前向きに伝えていきたい」と、制作したワンピースはカラフルで鮮やかな見た目にすることにこだわった。柄物や明るい色味の生地を使い、全面に「個性が開花してほしい」という思いを込めた花のアップリケと、「これから開花する個性」を表現したつぼみのアップリケもあしらう。随所に、他人の目をイメージした目の形のアップリケも付けた。合わせる黒いブーツには、アンチテーゼの思いを込めて「ブルベ」「整形」など容姿に関するワードを書いた紙を貼っている。

 佐瀬さんは「『やるからには1位を目指してそうね』と話していた』」ことから、「こんな目立つところに置いてもらえて、本当にうれしい」と喜んだ。

 2位は、パッチワークやダメージ加工を施したショートのフリンジスカートと、ロングのティアードスカートという左右非対称の長さのスカートなどで格差を表現した、「学びの格差」がテーマの作品。「自由や希望」の意味と「心の傷」を表現した左右非対称の羽や、黒を基調に赤で「秘めた反抗心」を表現するなどした、「痴漢や性犯罪による二次被害」がテーマの作品は、3位に選ばれた。

 そのほか、大きいサイズのヘッドピースで「頭の中で抱えている悩みや不安」を表現するなどした「睡眠障害」を取り上げた作品、軍服をイメージしたカーキ色をベースに実際に燃やして爆風や熱線で焼け焦げた衣服をイメージするなどした、「原爆の風化」をテーマにした作品なども並ぶ。

 同校のファッション流通科教員の及川あいさんは「より自分事として考えてほしい」と伝えたと言い、「自分だったらどうする、どんな気持ちになるんだろうと考えて、言葉にできる学生がすごく多く、自分自身や家族、友人、知人などの実体験に基づいた問題提起をする学生が多かったように感じた」と振り返り、「『かわいいな』『なんでこういう風になっているんだろう』というくらいの感覚でもいい。(社会問題を)解決することは難しいが、109に来る若い方たちに、まずは知って意識してもらう。自分にも起こり得るかもしれないという意識づけができれば」と話す。

 展示場所と期間は、3月3日まで=2階COCO SPOT、同月4日~同月10日=3階・4階・5階エレベーターホール。10日まで。

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